センバツ初V狙う!健大高崎スーパー2年生コンビ 元NPB審判員記者もあふれる才能に大興奮

2024年03月15日 05:45

野球

センバツ初V狙う!健大高崎スーパー2年生コンビ 元NPB審判員記者もあふれる才能に大興奮
ポーズを取る(左から)佐藤、柳内記者、石垣(撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 11年から6年間、NPB審判員を務めた柳内遼平記者(33)が、フル装備で選手の成長や魅力をジャッジする「突撃!スポニチアンパイア」。第12回は18日に開幕する「第96回選抜高校野球大会」で初優勝が期待される高崎健康福祉大高崎(群馬)の「スーパー2年生コンビ」。146キロ左腕・佐藤龍月(りゅうが)と148キロ右腕・石垣元気は下級生ながら、ともに大会屈指の好投手だ。
 室内でのシート打撃に登板した佐藤と石垣をジャッジした後、私の体はワナワナ…と震えた。群馬に舞い落ちる雪のせいではない。輝く才能を形容する言葉が湯水のごとく湧いてきたからだ。興奮する33歳の私を見て困惑する16歳の2人。「書店に並ぶ選抜特集の雑誌は、君たち2人が表紙を飾るべきだった!」と考え得る最大級の賛辞を贈った。

 146キロ左腕・佐藤、148キロ右腕・石垣の2人は今秋のドラフト候補ではない。足りないのは実力ではなく年齢。まだ2年生になったばかりだ。そんな2人が同じチームにいる奇跡。「彼らをジャッジできなければこの企画の存在意義がない」と青柳博文監督に直談判し、実現した。

 ジャッジ当日。雪だけではなく幸運も降ってきた。ブルペンではなく、シート打撃の球審を務めることになった。佐藤は打者5人を無安打3三振、石垣は打者6人を無安打4三振。昨秋の公式戦で32校中No・1のチーム打率・397を誇った仲間の打者たちでさえ、歯が立たなかった。

 佐藤は、大阪桐蔭からソフトバンク入りした前田悠伍のようにサウスポー特有の投球術を持つ。特筆すべきは右打者への攻め。リリースの見えづらいインステップのフォームから角度をつけて、140キロ台の直球で内角をえぐる。切れと変化量を両立するスライダーはファウルにすることさえ困難で、春からは外角のボールゾーンから曲げるバックドアも駆使。外も使えることで内も生きる。逆もまた、しかりだ。さらに選抜用に外に逃げる新球・チェンジアップまで用意してきた。

 石垣はサプライズだった。従来、知名度は佐藤の方が上だったが、実力は甲乙つけがたいレベルにあった。直球がとにかく凄い。地をはう低めのストライクに打者は手を出すことができず、高めはバットが空を切る。真冬の12月に148キロをマークした直球は、甲子園で間違いなく150キロの大台を計測するだろう。そして「プロで飯を食えるボール」が、カットボールだ。大げさではなく、本塁到達寸前に変化するため、打者は同じボールに同じスイング軌道での空振りを繰り返した。「100球続けても空振りを繰り返す」とすら感じた。

 間違いなく2人は大会屈指の好投手。2人が初の甲子園に挑む様を、一野球記者としてリアルタイムで追えることに幸せを感じる。選抜出場校が決まった1月27日付の本紙紙面で同校の評価を「A」としたが、最高評価の「特A」に引き上げたい。その判断が正しいか、答えはすぐに出る。19日に予定される大会第2日第3試合・学法石川戦から2人の春が始まる。


 ◇石垣 元気(いしがき・げんき)2007年(平19)8月16日生まれ、北海道登別市出身の16歳。登別市立西小1年から柏木ジュニアーズで野球を始める。登別西陵中では洞爺湖リトルシニアに所属し、北海道選抜に選出。憧れの選手はオリックス・山下。好きな芸能人は佐藤二朗。1メートル76、71キロ。右投げ左打ち。

 ◇佐藤 龍月(さとう・りゅうが)2007年(平19)7月13日生まれ、川崎市出身の16歳。下小田中小1年から陣屋少年野球部で野球を始め、西中原中では東京城南ボーイズに所属し、U―15侍ジャパンに選出。憧れの選手はドジャース・大谷。好きな芸能人は今田美桜。1メートル73、70キロ。左投げ左打ち。

 ≪50校以上オファー、佐藤進学理由は兄 MLB見据え追う≫ 侍ジャパンU―15日本代表に選出された経験を持つ佐藤は、複数の甲子園優勝校を含む50校以上の高校からオファーを受けた。同校への進学を選択したのは、2学年上の内野手・志龍とプレーするため。高校通算30本塁打の長打力と俊足を武器にする兄は、ニューヨーク州立ハーキマー大に進学する。メジャーでのプレーを目指して海を渡った兄。佐藤は「自分も最終的にはメジャー。先に行ってもらって後で一緒に」と青写真を描いた。


 【取材後記】「アンパイア」は紙面と動画で連動する企画。最大の懸念は動画で「相手の研究材料にされないか」という点にある。大会直前に取材を了承した2人に直撃すると、佐藤は「自分が研究を上回ればいいだけ。(この企画は)目標というかやってみたかった」と笑い、石垣は「研究されても打たれないという気持ちを持ちたい」と表情を引き締めた。「本当に2年生か…」と疑うほど頼もしい2人だ。

 石垣にはもう一つ理由があった。実は昨年11月に当企画で青学大の下村海翔(現阪神)を取材。石垣はその動画を視聴し「下村投手のカットボールを見て凄いと思ってマネしました」と宝刀の誕生につなげていた。動画を通して会ったこともない下村から授かったカットボール。次は石垣が授ける番だ。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

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