健大高崎 春夏通じ初優勝!新基準バット元年、0本塁打でつかんだ紫紺の大旗

2024年04月01日 05:00

野球

健大高崎 春夏通じ初優勝!新基準バット元年、0本塁打でつかんだ紫紺の大旗
センバツで初優勝した健大高崎 Photo By スポニチ
 【第96回選抜高等学校野球大会 第11日決勝   高崎健康福祉大高崎3―2報徳学園 ( 2024年3月31日    甲子園 )】 高崎健康福祉大高崎(群馬)が報徳学園(兵庫)との決勝に3―2で競り勝ち、春夏通じて初優勝を果たした。群馬勢に選抜初優勝をもたらす原動力となったのは2年生投手コンビ。背番号10の先発・石垣元気投手が8回2失点と試合をつくり、9回は準々決勝で左手中指のマメをつぶした佐藤龍月(りゅうが)投手が締めた。低反発の新基準バットが採用された100周年大会で、金属バット導入後8校目となる「0本塁打優勝」となった。
 白球にはジワリと血がにじんでいた。1点リードの9回2死二塁。地鳴りのような地元校を後押しする聖地の大声援も、指の痛みも、佐藤は「感じなかった」と無心だった。スライダーで空振り三振を奪うと、エースを歓喜のナインが囲んだ。

 「最初は実感がなくて数秒後に優勝したんだなって。みんなが凄い笑顔で走ってきてくれてうれしかった」

 エース左腕・佐藤、150キロ右腕・石垣の「2年生コンビ」が、決勝まで5試合45イニングを投げ抜き、選抜100周年大会で群馬県勢初優勝を成し遂げた。佐藤が準々決勝で左手中指のマメをつぶした影響で、決勝も石垣が2戦連続で先発登板し、8回7安打2失点。「気合だけで投げた。決勝で力を発揮できた」と127球の熱投で佐藤に最後を託した。

 佐藤が救援した9回、2死から四球を出すと二盗で得点圏に進まれた。それでも最後は一塁側に踏み込むインステップ投法で、左打者の背中から大きく曲げる「フロントドア」のスライダーで空振り三振。「スライダーは一番の武器。土壇場で正確に投げることができた」と会心の一球だった。3年生は登板せず、2年生投手のみの登板での優勝は04年の済美(愛媛)以来20年ぶりの快挙だった。

 憧れの先輩から見て盗んだ宝刀を武器に、佐藤は大会22イニング連続無失点で終え、22個も三振を奪った。中学で所属した東京城南ボーイズには2学年上に杉山遥希がいた。横浜(神奈川)で1年からエースを担い、昨秋ドラフト3位で西武入りした左腕に、当時は恐れ多くて「教えて」と言えなかった。それでもブルペンの片隅から見て学び「真っすぐだ、と思ったところからスライダーに変化した。それを目指してきた」と追い求めてきた。

 低反発の新基準バットの大会を象徴するように、守り勝った。本塁打ゼロのチームの優勝は、01年常総学院以来、23年ぶり。昨年王者の山梨学院、優勝候補の報徳学園など強豪を次々と破り「夏も優勝したい。やっぱり春夏連覇が目標です」と県勢初の偉業を新たな目標にした。指の傷が癒えた後、再び頂点への歩みが始まる。(柳内 遼平)

 ≪2年連続の都道府県初優勝は27年ぶり≫選抜では昨年の山梨学院に続き2年連続の県勢初優勝となった。2年連続の都道府県初優勝は96年の鹿児島実(鹿児島)、97年の天理(奈良)以来27年ぶり。また、22年夏には仙台育英(宮城)が東北勢として春夏通じて初めて優勝しており、直近5大会では3県が初優勝を果たした。群馬県勢は夏の甲子園制覇は過去2度あり、99年に桐生第一、13年に前橋育英が優勝した。

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