【内田雅也の追球】連敗とゼロ行進で得た教訓 負けて学び、そして強くなる

2024年04月01日 08:00

野球

【内田雅也の追球】連敗とゼロ行進で得た教訓 負けて学び、そして強くなる
<巨・神>6回のピンチで梶谷を凡打に討ち取った才木(中)は大山とハイタッチ (撮影・西川祐介) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神5ー0巨人 ( 2024年3月31日    東京D )】 阪神監督・岡田彰布は開幕3連戦について、「1つ勝てばええんよ」と話していた。3連敗の借金3と1勝2敗の借金1では大違いである。
 本来がマイナス思考で昨季の開幕4連勝やいわゆる開幕ダッシュなど望んでいない。ましてや開幕前に大山悠輔や近本光司が体調不良で万全ではない。高望みなどできる状況ではなかった。

 だから、今季初勝利をあげた試合後、選手たちと「パー」で握手を交わした後、ひと息入れようとしていたのだろう。ベンチ裏素振り室に集まっている報道陣に「もう(会見を)やるの?」と言いながらやって来た。大きく息を吐いた。「今日の勝ちは大きいよ。そりゃあ、3連敗と1つ勝つのは大違いやからな」

 試合は重苦しい展開だった。開幕から2試合連続零敗の後を受け、この日もゼロ行進が続いた。1回表の無得点で開幕から連続19回無得点のセ・リーグ・ワースト記録を更新していた。7回まで0―0で連続無得点は25回まで伸びていた。

 均衡を破る3ランを放った森下翔太は大の付くヒーローである。さらに代打で突破口を開いた小野寺暖、代走から好走塁で4点目生還を果たした植田海、今季初打席でプロ2本目の本塁打を放った小幡竜平と控え選手たちも働いた。

 開幕の出陣式で全員に語りかけた。「山あり谷ありの長いシーズンになるが、みんなで信じてやっていこう」。その全員で戦う形になっていた。

 アール・ウィーバーの言う「野球は投手力、守備力(基本)、そして3ラン」を思う。1960~80年代、大リーグ・オリオールズ監督としてリーグ優勝4度、ワールドシリーズも制した。

 3ランに加え、才木浩人の踏ん張り、好継投、そして好守備があった。足の痛む大山が6回裏2死一、三塁で梶谷隆幸の強烈なゴロを逆シングルで好捕する美技で、失点を防いでいた。

 野球の神様はよく「負けから学べ」と言う。長丁場を見すえる岡田もまた同じことを言う。「負けから学んでいけばいいんよ。春先はそういう時期。学んで成長して9月にベストになればいい」

 ならば、昨年日本一チームが味わった連敗とゼロ行進は貴重な経験で教訓を得た。大リーグ監督で歴代2位、2902勝のトニー・ラルーサが「野球は常に人を謙虚にさせてくれる」と語っている。負けてまた強くなるのである。 =敬称略=
 (編集委員)

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