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涙とサプライズ満載の神宮「青木引退劇場」全員背番23、友が歌い息子が投げ、ダルがイチロー氏が“登場”

2024年10月02日 22:55

野球

涙とサプライズ満載の神宮「青木引退劇場」全員背番23、友が歌い息子が投げ、ダルがイチロー氏が“登場”
<ヤ・広>チームメート、家族らと場内一周する青木(右)(撮影・尾崎 有希) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   ヤクルト5ー3広島 ( 2024年10月2日    神宮 )】 今季限りで現役を引退するヤクルトの青木宣親外野手(42)が引退試合となった広島戦(神宮)に「1番・中堅」で先発フル出場。マルチ安打とし、外野全ポジションを守った。試合後には大粒の涙を流した。試合前練習から青木が神宮を引き揚げるまで、さまざまな感謝の演出に青木だけでなく選手やファンも涙し、笑顔がはじけ、サプライズに目を丸くした球史に残る引退セレモニーとなった。
 選手、スタッフ、神宮球場、ゲスト…ヤクルトファミリーによる盛大なサプライスや演出が終わり、後は青木のスピーチを心に焼き付ける。そんなムードの中、最大のサプライズに青木は目を見開き、神宮は騒然となった。

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が大型画面に浮かび上がる。そして「青木、21年間の現役生活、お疲れさまでした」「もし、同じ時代に同じ条件で勝負していたら、どっちがよりヒットを打ったのか、そんなことを想像させてくれるバッターでした」「僕にとっては数少ない、ずっと変わらないかわいい後輩です」とねぎらいの言葉や熱いメッセージを贈った。そして最後に「じゃあ最後、バシッとな。お疲れさま」。青木の目から涙があふれだした。

 「イチローさん、バシッと決められるか分かんないけど、とにかくしゃべります」

 さかのぼること5時間超。試合前から神宮は“青木色”に染まっていた。午後3時すぎ。練習中に自身がカラオケで歌う徳永英明の「レイニーブルー」が流れる中、苦笑いを浮かべた青木は、バットを持つと表情が一変。普段と変わらないルーティーンでヒットと本塁打を打ち分けた。

 そして試合開始直前には、神宮が「青木劇場」と化した。親交がある「GLAY」のギタリスト・TAKUROが国歌演奏を務め、始球式には息子が登場。青木が捕手を務め、打者には村上が立った。見事なノーバウンド投球を披露した息子とハグし、記念撮影にマウンドに向かう際には、目に涙を浮かべた。また、ベンチ入りメンバーだけでなく、監督やコーチ陣、スタッフ全員が背番号23のユニホームを着用し「大きな試合、国際試合に臨むような気持ち」と青木。プレーボール直前にはマウンド付近で選手たちと抱き合ってから中堅の守備に就いた。見慣れたはずの景色は涙でにじむ。打席に入ると、スタンドは来場者に配布された応援ボードで緑色に染まった。

 試合は、レジェンドを勝利で送り出そうとナインが一丸となった。打線が2回までに5点を奪うと、投手陣では7回途中から青木の盟友・石川が3番手で登板し、1人を抑えると青木とともにベンチへ。そして自身は中堅から左翼、右翼と外野の全ポジションを守ってフル出場して勝利をつかむと、涙を我慢しながら、青木コールが響き渡る神宮のスタンドを何度も何度も見渡し、目に焼き付けた。

 ついに現役生活に本当の意味で分かれを告げる引退セレモニー。それはまさにサプライズ祭りだった。恩師でもある日向高校野球部の元監督・田平裕三氏、早大の同期で元阪神の鳥谷敬氏、元ヤクルトのマクガフ、バレンティン氏、パドレスのダルビッシュ有がビデオで登場し、惜別の言葉を贈った。すでに涙が止まらない青木は、自らもサプライズを用意。ねぎらいの言葉を掛けにグラウンドの青木の元に背番「23」のユニホーム姿で来た佐知夫人、子供たちに自ら花束を贈り、感謝の気持ちを伝えた。

 最大のサプライズとなったイチロー氏の贈る言葉からバトンを受けた青木は、真っすぐな言葉でファンに、仲間に、スタッフに、球団に、友人や先輩に、そして家族に感謝の思いを伝え号泣。「ついに、この瞬間が来てしまいました」「泣きますよ。泣くよ」「21年も野球やったんですよ、泣きますよ」「自分が愛した球団をよろしくお願いします」

 神宮の夜空に胴上げで何度も舞い、愛する息子は目を真っ赤に染めた村上に肩車され、石川と並ぶ盟友・つば九郎とは自撮り記念撮影するなど、最後までヤクルトファミリーの温かさに包まれた神宮の「10・2」。愛するすべての人たちが見守る前で最後まで青木らしさを貫き、球史に残る希代のバットマンが、現役生活に別れを告げた。

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