藤井棋王 デビュー8年目428局目で初の引き分け タイトル戦の開幕局では33年ぶり

2024年02月05日 04:59

芸能

藤井棋王 デビュー8年目428局目で初の引き分け タイトル戦の開幕局では33年ぶり
伊藤匠七段との棋王戦第1局に臨む藤井聡太棋王(日本将棋連盟提供) Photo By 提供写真
 藤井聡太棋王(21)=王将など8冠=が伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける第49期棋王戦5番勝負は4日、富山県魚津市で開幕し、129手で持将棋(引き分け)になった。両者の王が敵陣へ入り、詰ますことができない状態になった。持将棋は今年度の全公式戦で3局目、藤井にとってデビュー以来428局目で初となった。0勝0敗1分けで行う第2局は24日、金沢市の北國新聞会館で指される。
 盤上に集中し、最善を尽くした結果だったからだろう。棋士人生初の持将棋と終局後の取材で指摘され、笑みがこぼれた。

 「それは全く意識していませんでした」

 お互いの王が敵陣3段目以内に入った藤井の129手目、伊藤に「持将棋ですかね」と声を掛けられ、同意した。デビュー8年目で初。日本将棋連盟によると、タイトル戦開幕局の持将棋は91年10月の第4期竜王戦7番勝負第1局、谷川浩司竜王―森下卓六段戦以来33年ぶりとなった。

 「伊藤七段の手のひらの上みたいな将棋になった。こちらが持将棋にできるかどうかと思って指した」

 2月を迎え、開幕3連勝している第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)とのダブルタイトル戦へ突入した。王将戦相手の菅井竜也八段は振り飛車党で、棋王戦の伊藤は居飛車党。タイプの異なる相手を同時期に迎え撃つ過酷さがうかがえ、得意の角換わりで白星を逃した。引き分けとなったことで勝率上有利な先手番を失った。

 藤井の先手角換わりは9割近い勝率を誇り、対戦相手に避けられることもある。後手になった伊藤はそれを拒まず、持将棋で第2局の先手番を得るという新手を繰り出した。「こちらとしては持将棋を目指す展開だった」と覚悟の選択だった。

 この日は1月5日に収録されたNHK杯準々決勝が放送され、同じく伊藤と対戦した藤井が93手で勝利した。テレビ対局は放送後に公式記録として加算されるため同一カードによる珍しい「1日2局」が実現。先手角換わりで、中盤から優勢に進めてそのまま押し切った。

 対局会場からは登頂の困難な山で知られる立山連峰の剱岳が望める。棋王戦第2局までに7、8日は王将戦第4局、17、18日は第5局が予定されている。1966年の大山康晴15世名人と並ぶタイトル戦19連覇の更新へ、失敗なしで王手をかける絶対王者に生みの苦しみを暗示しているようだった。(筒崎 嘉一)

 ▽持将棋(じしょうぎ) 双方、または一方の王が敵陣3段目以内に入り、どちらも相手の王を詰ます見込みがなくなった場合、両者合意の上で成立する。王を除く大駒(飛、角)1枚を5点、小駒1枚を1点とし、両者の点数が24点以上あるときは無勝負(引き分け)で、公式記録は「持将棋」。24点に満たない側は負けとなる。一般的な公式戦では同日に指し直すが、タイトル戦では次局以降に繰り延べられ、今回の5番勝負は第1局が持将棋となったことで最大第6局まで開催される。 

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