足裏の“ほくろ”メラノーマの原因は水虫!?予防で簡単にリスク減 1日1回チェックを
2024年06月21日 05:00
芸能
田中先生、まずメラノーマとはどんなものなんですか?
「メラニン色素を保有するメラノサイトという細胞が、がん化したものです。皮膚がんの中で最も悪性度が高いといわれていて、リンパ、血流の両方から全身に転移していくので注意が必要です。ほくろもメラノサイトからできますが、全てのほくろががんになるわけではありません」
足の裏に多いんですか?
「メラノーマの30%が足の裏にできるというデータがあります。特に足の指、かかとに多く発症すると報告されています。足の裏はメラニン色素が乏しい場所で、そこにほくろができるのは異常ですから、がんではないかと疑わなければいけません」
足の裏にできる原因は何でしょうか?
「詳しくは分かっていません。外傷を受けやすい、圧がかかる場所に多いことから、メカニカルストレス(細胞や組織への物理的刺激)が発生原因といわれています。そこに今回、水虫も原因になり得るという研究結果が出たわけです」
ほくろなのか、メラノーマなのか、私たちでは区別が難しいです。「ABCDEルール」という方法があると聞いたんですが。
「見分ける目安です。形、色、大きさなど、それぞれの特徴に照らし合わせて、ほくろかメラノーマかの判断材料とします。名称は、それぞれの英語の頭文字をつなげたものです。ただし、あくまでも目安。直径を見る“D”は6ミリ以上とされていますが、私は6ミリはかなり大きくなった状態だと思います。進行すると転移している可能性も高いですから、足の裏にほくろのようなものができたら早めに、まずは皮膚科を受診することをお勧めします」
ABCDEルールを掲載します。参考にして、気になることがあったら病院へ行ってください。
水虫の予防が一層、大切ですね。
「口の中を奇麗にする“オーラルハイジーン”という言葉は、皆さんご存じだと思います。私たちは、足を清潔に保つ“フットハイジーン”という考えを提唱しています。毎日洗って、奇麗な状態にしておく、ということです」
水虫菌はたとえ付着しても24時間以内に洗い流せば感染しないと聞きました。
「そうです。ただ、高齢者は体が硬くなるなどして、足を洗おうにも手が届かないという方が多いです。足をゴシゴシ前後にこするマットもありますが、なかなか指の間まで奇麗に洗えません。足の裏だけでなく、指の間、爪と皮膚の間まで汚れを落とせるようにと、私たちと大手日用品メーカーが共同開発したブラシもありますので、試していただければと思います。柄が長く、誰でも扱いやすいような作りです」
水虫になったり、汚かったりで、家族や介護ヘルパーさんにも足を見せたがらない高齢者もいるそうですね。
「顔を鏡で見るように、1日1回、足の裏も見ていただきたいですね。見えにくければ、鏡を使ってください。メラノーマの発症件数自体は多くはありませんが、一度発症すると転移が早いといわれています。リンパ、血流の両方で広がっていくので、全身の臓器に転移して亡くなることもあります。足の裏のほくろは、がんである可能性があります。“異常事態”だと認識して、放置しないでください」
メラノーマのリスク、抑えたいですね。その第一歩として、私たちがすぐにできるのが水虫の予防のようです。足が蒸れる季節がやってきます。靴を2足交互に履くとか、バスマットを清潔にするとか、基本的なことはしっかりと。それと何より「1日1回、足の裏を見る」。これを習慣にしましょう!
◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。元為替ディーラーで経済評論家の岩本さゆみ氏との共著「日本経済 本当はどうなってる?」(青春出版社)が販売中。