関西レジェンドDJヒロ寺平 5年ぶりカムバック番組は自身で企画書作って売り込み!! ラジオ愛は永遠に
2024年09月13日 11:57
芸能
転機は昨年11月だった。公私ともに親しいaikoの特番「今日は一日“aiko”三昧」(NHK FM)に招かれたのがきっかけだ。久しぶりのラジオブース。そこで5時間近くしゃべりまくった。「このときに残り火がボボボボって身体の中でついた感じになって。よーし戻ったれ、となったんです」と振り返った。
とはいえ、事務所に所属しているわけでもなく、マネージャーがいるわけでもない。「じゃー自分でドアをノックするしかないか。でも、ノックもどないしたらええやろ?」と思い悩んだ末に、なんと、自分で番組の企画書を作ってしまった。「ラジオのコミュニケーションがハガキしかなかった時代。そこへあえて戻りません?当日もメールのリクエストは受け付けない。字が下手でも上手でも直筆だから味が出る。あの時代を感じるような番組をやってみたいんです」。そんな思いを、NHKの知人に託した。
NHK側もまさか大御所DJから企画書が届くとは思ってもみなかった。だからと言って、すぐにOKを出すほどヤワな放送局でもない。春先に出された企画書は吟味を重ねられ、番組の放送が正式決定されたのは8月7日。リクエストの受け付けも始まった。
手書きのハガキという、今ではどのラジオ番組でもめっきり減ったリクエスト方法だが、想像以上にたくさんのハガキが届いた。年配のファンからは「書くことで、あの頃の良さを思い出しました」という言葉をもらい、若いファンからは「ハガキなんて書いたことなかったけど、温かい気持ちになりました。こんな機会をありがとう」など、思っていた以上の反応が寄せられた。
「今は便利すぎる世の中。取捨選択して使い分けれればいいんですけど、人間というやつは、便利な方にばかり傾いてしまう。でも、不便であることは不幸ではないと思うんです」。寄せられた数多くのハガキの束に、デジタルの世界ではなかなか実感できない体温を感じた。
「あっという間の2時間だったと思ってもらえるように頑張りたい」と16日の生放送への意気込みを語ったヒロT。その目はすでにその先へと向いている。「今回は特番ですけど、これがいい布石になって、何か展開できればこんなありがたいことはない。後は、決めはるのはNHKさんです」。
5年の雌伏を経て、レジェンドの完全復活。ラジオ愛は止まらない。
◇ヒロ寺平(ひろ・てらだいら)1951年(昭26)11月27日生まれ。大阪市出身の72歳。関西学院大学に在学中、カナダへ留学。帰国後に楽器関連の会社を起業するとともに、ライブハウスで音楽活動を行っていた。85年にラジオ関西でDJデビュー。その後、89年に開局したFM802へ移籍し、開局第一声を務めるなど同局の看板DJとして活躍した。13年に802が運営するFM COCOLOに異動。19年9月に引退を発表し、第一線から身を引いていた。