ツートライブ(1)M-1での成功夢見てプロを選んだ2人 芸歴16年目迎え見つめる新たな芸の道とは?
2024年09月16日 14:00
芸能
◆7年連続準々決勝止まり「打ち勝てなかった」悔しさ◆
―7年連続準々決勝に進まれましたが、残念ながらその壁は破れず、15年が終了してしまいました。
たかのり「M-1最後の日は思い通りのネタはできたんです。なんなら、その日では一番ウケたくらい。舞台袖に帰ってきて、十分出し切ったなと話したんですが、悔しい結果になって」
周平魂「M-1に関しては楽しく最後までできたんで良かったかな、という感じでした。元々M-1に出たくて芸人になったんで、なくなったなあ、という気持ちはありますね」
―燃え尽き感もあるのでしょうか?
周平魂「漫才ブーム10年間ツアー(10年かけて全都道府県を回る)をミルクボーイ、金属バッド、デルマパンゲの3組とやってるんです。あのおもろい兄さんらに食らいついていきながら、そこで一番笑いをとりたいんです。だから、ネタを作るモチベーションはかなりデカいですね」
たかのり「先輩方がまた素晴らしい漫才をするんですよ。ぼくらミルクボーイさんの後なんですけど、爆笑の後なので、すごいプレッシャーを感じながらやってますね」
―芸人さんの中には、M-1のネタを1年かけて作るのはうっとうしい、という人もいます。
たかのり「ハハハ!ぼくらもね、制限時間をつけられる漫才がほんまに不得意で」
周平魂「4分やったら6分、6分やったら8分くらいになるんですよ」
たかのり「まあ、それにぼくも相方も緊張しい、で」
―それは意外な…。
周平魂「ちょっといまのは相方に巻き込まれた感はありますけど(笑い)、まあそういうところはあるかな。ただ、誰でもそうで、それに打ち勝っていかんとあかんのに、ぼくらは負け続けてもうたんでね」
◆結成はイタチがきっかけ? たかのりは天狗だった?◆
―さて、これはインタビューした芸人さん全員に聞いてるんですが、出会いから結成の経緯を聞かせてもらってもいいですか?
周平魂「そうですねえ。どこから話そうかな。ぼくが大学の入学式の時に石ころを蹴ったんですね。その蹴った石ころがイタチに当たってしまったんですよ。そのイタチがびっくりして木に登ってったんですが、それがオレンジの木で、イタチの前にオレンジが出てきたんです。動物の本能で、思わず実をついばんでたら、オレンジが落ちて、その下にいて頭にぶつかったんがこいつやったんです」
たかのり「そんなわけないやろ」
―ハハハ。
周平魂「ほんだら、こいつ、オレンジとって食べて、うめえ、とか広島弁で言って、じゃあこいつと漫才しようかな、となったんです」
たかのり「むちゃくちゃうそやな」
―ほんまやったら、すごいのに…。
周平魂「出会いの話はこれまでしゃべりすぎてるんで、すみません(笑い)。でも、やっぱりM-1だったんですよね。ぼくが高3の時に大会ができて、M-1出れたら芸人なれるんちゃうか、みたいな感じがあったんで」
たかのり「ぼくはテレビとかでお笑いを見てたけど、漫才をやるなんてまったく思ってなくて。広島の田舎から出てきて、4年間キャンパスライフを味わおうかなと思ってたら、漫才どすえ、みたいなこと言ってきたから、おどりゃー何を言っとんじゃ、漫才って何じゃ?となった感じですね(笑い)」
―出会いは大学のクラスとかなんですか?
周平魂「最初にオリエンテーションがあって、宴会場みたいなところで先輩が仕切ってたんですけど、相方探すのにはそこでボケて、それに絡んでくるおもろいヤツを探すのが一番手っ取り早いなと思ったんです。そしたら、たかのりが出てきて2人で爆笑とったんです」
たかのり「3年目くらいで売れてるコンビのエピソードやな」
周平魂「おれらもう16年目やけどな」
―(笑い)
たかのり「そのころは芸人になりたいというか、周平魂にしてもM-1に出たいというのが目標だったと思います。でも、2回戦までしか行けなくて。そのうち2人ともやりたいことができたんで、コンビ解消したんです」
周平魂「3年になる前後のある日、こいつが話があるって言うから待ち合わせのところに行ったんです。そしたらタキシード着てました」
たかのり「は?」
周平魂「なんか顔の彫りが深く見えるようなメイクしてて、ビシッと決めて、解散してほしいって言われて」
たかのり「引き留めろや、そんなヤツ。めっちゃおもろいやんけ」
周平魂「ピカピカしたローラースケートもはいてた」
たかのり「メイクして、タキシード着て、ローラースケートはいて、解散してほしいって?絶対引き留めろって」
周平魂「いろいろ悩んでるんやと思ったから解散したんです。だから大学3年のときはバイト先のバーの店長誘ってM1出たんですけど、全然ダメでした。それから1年後くらいに、また相方から連絡が入ったんです」
―よりが戻るんですね。
周平魂「天狗がはくような一本ゲタみたいなんをはいてきたんです。なんか頭に黒い六角形みたいなのをつけてました。それをパカッと外して、リップクリーム出して唇に塗ってたんです。忘れもしない、三宮のサンキタ通りですわ」
たかのり「また、おもろいやつ出てきたで」
周平魂「口をおちょこみたいにして、NSCに行きたいんじゃけって言ったんです」
たかのり「NSCに行きたいと伝えたのはほんとです」
周平魂「実はその1週間前に友達と話してて、全然単位もとってなかったから、みんなが“周平どうすんの?”って心配してくれてたんです。その流れでNSCでも行こうかなって言ったんです。初めて口に出して、なんかリアルな感じになってきて。そしたら1週間後に一本ゲタ」
たかのり「一本ゲタとか持ったことないっちゅうねん」=(2)に続く
◇ツートライブ 周平魂(しゅうへいだましい)1983年(昭58)9月11日生まれ。京都市出身の41歳。ボケ担当。たかのり(たかのり)1984年(昭59)4月11日生まれ。広島県尾道市出身の40歳。大学時代にコンビを結成し、アマチュア時代からM-1グランプリに出場。17年から7年連続準々決勝に進出も壁を破れず。唯一無二のイキり漫才で安定した笑いをとり、芸人仲間からの信頼は厚い。