池上季実子 一日一食生活で調子“胃~” 2年前コロナ感染、死の淵で願った「もっと舞台がやりたかった」
2024年10月18日 05:00
芸能
夕食会とかにも誘われるんですけど、6時ならまだ良いですが、7時スタートと言われてしまうと翌日は調子が悪い。朝も胃がもたれている感覚があって、やっぱり夕方に食べるのがいいんだなという感覚になりました。ランチをガッツリ食べた時も、小腹がすいて三角チーズくらいは食べるけれども、翌日の夕方まで食べないというふうになって胃の調子がいいの。それで私は知らなかったんだけれども、周りに聞いたら、それはダイエット効果のある「16時間断食」だって言うんです。
お酒は若い頃は凄く飲んでいて、平気でI・W・ハーパーの12年を2本くらい空けて、その後、鍛高譚(焼酎)を1本空けてからシャンパンみたいな感じでした。量は進むけど全然酔わないし、最後は私がみんなを送って帰るというパターンが多くて。でも、そういう飲み方はバカらしいなと思って、50歳でお酒はやめていたんです。それに22年にコロナになってから、飲むと心拍数が上がってせきが出るんです。だから飲まなくなっちゃった。元々家では飲まなかったから、飲まなくなってもそれほど苦ではないです。
若い頃に現場でぶっ倒れるまで仕事をして肺炎になってから、慢性気管支炎を抱えているんです。それでコロナにかかって重症になってしまいました。搬送された時、ECMO(エクモ)は拒否しました。声帯を切られたくなくて、“声が出なくなるなら死んだ方がまし!”と怒鳴っちゃった。その時、血中の酸素濃度は75を切っ ていました。「今日が峠です」と言われても、「もっと舞台やりたかったな」と、それしか考えていませんでした。三度の飯より芝居がしたい。本当に自分は芝居が好きなんだなと思い知らされましたね。だから今は楽しくてしょうがないです。
退院して最初に撮った作品は映画「風の奏の君へ」(24年公開、監督大谷健太郎)です。20年5月に撮影が延期になった作品で、22年4月末から撮りました。入院は秘密にしていたけど、それまでに退院すると医師に言ってオファーを受けました。それだけに撮った時は涙が出ました。
その後も酸素がないとせき込む状態が続きましたが、舞台に出ました。主治医も心配して、千秋楽翌日に検査をして、入院の準備もしていました。そうしたら、驚くことに舞台翌日の体の数値が良くなっているんです。主治医もあきれていましたが「季実子さんの薬は舞台です。出演すると異常なアドレナリンが出るんだろう」と。次に何かがあるということが、物凄く精神的な支えにもなっているんです。だから、いつまでも挑戦する気持ちは持っていたいと思うし、これからもそうしたいです。
≪11・4初日 人生初ミュージカル≫池上は11月4日に初日を迎えるミュージカル「ALICE~不思議の国のアリスより~」(リンクステーションホール青森ほか)に出演する。原作でもおなじみのハートの女王を演じる。これが65歳にして人生初のミュージカル挑戦。「50年やってきた芝居の分野と、1年もたっていない初心者マークのミュージカルをいかに両立させるか。私の挑戦にもなる」。大ベテランが新境地を開拓する姿に注目だ。東京公演は11月7~9日、大井町・きゅりあん大ホールで。公演は全国13カ所で実施される。
◇池上 季実子(いけがみ・きみこ)1959年(昭34)1月16日生まれ、京都府出身の65歳。74年、ドラマ「まぼろしのペンフレンド」でデビュー。映画「陽暉楼」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞。主な出演作に「男女7人夏物語」など。祖父は歌舞伎俳優の八代目坂東三津五郎。