平野、高木、小林…史上最多10組「きょうだい」の活躍と絆にホッ

2022年02月12日 05:30

スノーボード

平野、高木、小林…史上最多10組「きょうだい」の活躍と絆にホッ
カメラを手にした弟の平野海祝(左)から写真撮影をお願いされる平野歩夢(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【藤山健二 五輪愛】私は昨年まで4年間、都内の実践女大で臨時の講師を務めさせていただいた。学生たちに好きな選手や競技を選択してもらい、自由な発想でスポーツ紙の模擬1面を作ってもらったのだが、毎年必ず注目選手として紙面に登場したのがスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢だった。
 女子学生の間での人気は圧倒的で、あるグループは平野の演技に中国清朝時代の言葉「竜飛鳳舞」という見出しを付けた。土壇場も土壇場、3本目の最後の試技で大逆転金メダルを決めた平野の演技は、まさに「竜が飛び、鳳凰(ほうおう)が空を舞う」ように私には見えた。

 その歩夢が真っ先に口にしたのは弟の海祝と一緒に五輪の舞台に立てた喜びで、弟もまた「ずっと兄ちゃんの努力を見てきたし、誰も見ていないところで一番努力していたのが兄ちゃんだから」とまるで自分のことのように喜んだ。世界一を決める大舞台での兄弟同士のやりとりは何ともほほえましかった。

 今大会は他にも「きょうだい」が多い。ジャンプで金メダルを獲得した小林陵侑には兄の潤志郎が真っ先に抱きつき、スピードスケート女子1500メートルで高木美帆が銀メダルに終わると、姉の菜那は「妹に金を獲らせてやりたかった」と声を震わせた。日本選手団124人のうち「きょうだい」は実に10組20人。もちろん、史上最多だ。

 旧約聖書の一節にちなんだ「カイン・コンプレックス」という言葉があるように、「きょうだい」間では友達関係よりも競争心や嫉妬がはるかに生じやすい。にもかかわらず「きょうだい」選手が一気に増えたのはたまたまなのかもしれないが、恐らく東日本大震災など大きな災害の頻発やコロナ禍が親子や「きょうだい」の絆を深めたこととも無関係ではないだろう。

 ジャンプ混合団体での大量失格などトラブル続きの印象が強い今大会だけに、「きょうだい」の活躍は頼もしいし、私たちの気持ちをホッとさせてくれる。(特別編集委員)

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