【世界陸上】高野進氏 止まっていた時計がやっと動き出した

2023年08月21日 04:44

陸上

【世界陸上】高野進氏 止まっていた時計がやっと動き出した
男子400メートル予選で日本新記録をマークした佐藤拳太郎(AP) Photo By AP
 【陸上 世界選手権第2日 ( 2023年8月20日    ハンガリー・ブダペスト )】 【高野進の目】32年ぶりに男子400メートルで日本記録が出た瞬間を見て“止まっていた時計がやっと動き出したな”と思った。いつか自分の記録が破られるだろうとは思っていて、破られた時にどう思うかを想像していた。今、凄くすっきりした心境で“やったな”という気持ちが強い。
 佐藤拳はバランスが良く、前半からリズムをつくれる。その中で後半に失速するレースもあったけど、今回は減速せず走れたし、しっかりと体をつくり上げてきた証拠だろう。ただ、佐藤風と中島を含めた3人は非常に力があり、それ以外の選手も45秒台前半で走る選手が増えてきた。層が厚くなり、高いレベルで競い合ってきたことが日本記録につながった。

 個々の努力はもちろん、数年前から本格的にマイルを強化してきた日本陸連の存在も大きい。時計の針を進めようと予算を取り、国内外で合宿を行い、特別なストレングスコーチを呼んだりもしていた。実際に自分が合宿に参加した時、佐藤拳は「話を聞かせてください」と積極的だった。さまざまな要素が絡み合ったことによる日本記録だし、準決勝以降にも期待したい。(男子400メートル前日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

おすすめテーマ

2023年08月21日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム