【ラグビーW杯】バックアップ要員から“出世”下川が初戦先発抜てき 指揮官「彼の仕事量が必要」

2023年09月09日 04:45

ラグビー

【ラグビーW杯】バックアップ要員から“出世”下川が初戦先発抜てき 指揮官「彼の仕事量が必要」
ボールを持って突進する下川(右)と止めるディアンズ(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組   日本―チリ ( 2023年9月10日    トゥールーズ )】 ラグビーW杯フランス大会は8日(日本時間9日午前4時15分)に開幕。日本代表は同日、1次リーグ初戦のチリ戦(10日、トゥールーズ)に臨む登録メンバー23人を発表した。FWではW杯初出場となるフランカーの下川甲嗣(かんじ、24=東京SG)が7番で先発。W杯イヤー本格始動となった6月の千葉・浦安合宿から先月28日まで一貫してバックアップ要員だった男が、シンデレラボーイとして世界を驚かせる。
 世界的には無名の“バックアップ要員”が、ビッグチャンスをつかんだ。ここまで代表としての出場数はわずか2ながらW杯の初戦で先発に大抜てきされたのは24歳の下川。練習では積極的なボール運びと接点の強さを披露し「試合が楽しみな気持ちと初戦を戦える責任がある。ディフェンスで早くポジショニングして相手にプレッシャーをかけたい」と表情を引き締めた。

 浦安合宿では代表候補としての参加で、7月からの国内5連戦で出場したのは1試合のみ。登録メンバー外が続いた時間はチームのために対戦相手の動きを研究しながら全体練習で“完コピ”する黒子の役割だった。それでも「少しでも可能性があるならチャレンジする」と、地道にアピールし続けた。献身性と豊富な運動量が持ち味でジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も起用の狙いを「彼の仕事量が必要だった」と説明した。

 福岡県有数の進学校で、東大生も数多く輩出する修猷館高の出身。勉強と両立しながらラグビー部で練習に打ち込んだ。当初はCTBだったが転機は入学直後にやってくる。同校で3年間指導した真鍋健治監督は「接点のずらし方や姿勢、圧力を変えるポイントに非凡なものを感じた。数値に出ないワークレートがあった」。FW第3列への転向を命じられ才能が開花した。早大、東京SGでも実力を発揮し、代表活動に招集されるまでになった。

 所属の東京SGでは営業職もこなしながらプレーする社員選手。代表候補の立場だった時期から、W杯閉幕までの期間の業務引き継ぎを行った。上司から「最後(W杯が終わる)までいないつもりでいるから」と伝えられていたという執念の男。「全ての人に感謝の気持ちを持ってプレーしたい」。シンデレラストーリーは、ここから始まる。

 ◇下川 甲嗣(しもかわ・かんじ)1999年(平11)1月17日生まれ、福岡県出身の24歳。5歳の時に草ケ江ヤングラガーズでラグビーを始める。福岡・修猷館―早大を経て21年にサントリー(現東京SG)入団。現在も社員選手としてプレーし、スーパーを担当する営業職。昨年10月のニュージーランド戦で日本代表デビューし、通算2キャップ。子供の頃の憧れはプロ野球選手で生粋のソフトバンクファン。好きな選手は和田毅投手。1メートル88、105キロ。ポジションはフランカー。

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