クレアチンとは。効果と飲み方、飲むタイミング、1日の摂取量

2023年10月19日 09:00

クレアチンとは。効果と飲み方、飲むタイミング、1日の摂取量
 瞬発力やパワー、スピードなどを重視する短時間高強度のスポーツのエネルギー源となるクレアチン。もともと体内に存在し、ほとんどが筋肉に貯蔵され、その体内貯蔵量の増加が運動パフォーマンスに寄与するとし、プロスポーツ選手やアス […]

 瞬発力やパワー、スピードなどを重視する短時間高強度のスポーツのエネルギー源となるクレアチン。もともと体内に存在し、ほとんどが筋肉に貯蔵され、その体内貯蔵量の増加が運動パフォーマンスに寄与するとし、プロスポーツ選手やアスリートにも注目される栄養素です。

 では、クレアチンという栄養素は、日々トレーニングに励む筋トレ民にはどんな効果が期待できるのでしょうか? また、サプリメントを活用した「クレアチンローディング」とは。

 管理栄養士で、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナーの河村玲子さんに伺いました。

筋トレ民におすすめの栄養素「クレアチン」とは

 クレアチンとはアミノ酸の一種で、平均的な成人のカラダの中には80~130gほど存在し、その約95%がリン酸と結合したクレアチンリン酸として骨格筋に蓄えられています。

 クレアチンリン酸は、筋収縮に必要なエネルギーのATP(アデノシン三リン酸)の再生に使われます。つまり、体内に十分なクレアチンが蓄積されていれば、無酸素運動など強度の高いトレーニング時にも素早くエネルギーを作り出すようにサポートしてくれるのです。

 また、運動中に生じる水素イオンや乳酸などの酸性物質を緩衝したり合成しにくくしたりすることで、疲労の原因ともなる筋肉が酸性に傾くことを防ぎます。さらにヒトのカラダにとって大切な水分を筋肉中に貯留する役割も果たします。

 筋肉に蓄積され、筋収縮に必要なエネルギーの再生をサポートするとは、クレアチンはまさに筋トレ民のための栄養素ともいえますね。

クレアチンの作用と期待できる効果

 プロスポーツ選手やアスリートが注目し、運動パフォーマンス向上のエビデンスレベルが高いクレアチン。筋トレ民が期待できる効果とは?

パフォーマンスの向上

「たとえばタバタプロトコル(※)を利用した運動だったり、高負荷での筋力トレーニングなどの高強度の運動、とくに短時間で激しい動きを繰り返すような運動でのパフォーマンス向上が期待できます」(河村さん)

 クレアチン自体が筋肉を増やすわけではありませんが、クレアチンがトレーニング中のエネルギー補給を円滑にすることで、ハードな筋力トレーニングを可能にします。これを積み重ねることで、結果的に筋肉量の増加、筋肥大が起こります。

筋肉疲労の緩和や回復力の向上

 さらに「運動中の筋肉疲労の緩和や回復力の向上が期待できるのも、筋トレ民が注目したいクレアチン効果のポイントです」と河村さん。また、「ランニングなどの有酸素運動能力向上の効果はないようです」ともつけ加えてくださいました。

(※)タバタプロトコル … 立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が発表した論文が元になったトレーニング法。

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刺身がおすすめ! 生肉や生魚に多く含まれるクレアチン

 クレアチンの消費量は1日に2g程度で、毎日の食事で摂取することができます。クレアチンを多く含む牛肉や豚肉、魚中心のバランスの取れた食事から必要量の半分程度を摂取し、残りは体内で生成します。

 しかし、牛肉や豚肉のクレアチン含有量は1kgあたりで4~5g、魚類ではとくにクレアチンを多く含むニシンでも1kgあたり6.5~10g、サケやマグロ、タラで1kgあたり3~4.5gほど。さらに、クレアチンは熱に弱く加熱により減少するため実質60~80%に。

 食品に含まれるクレアチンを減らすことなくまるまる摂取するためには、刺身など生で食べることがクレアチンをより多く摂取する方法です。

次ページ:サプリメントを利用して効率的に摂取

サプリメントを利用して効率的に摂取

「クレアチンのパフォーマンス向上効果を狙うには、クレアチンの体内蓄積量を増やさなければいけません。それには、サプリメントを利用した「クレアチンローディング」という方法があります」(河村さん)

 では、クレアチンローディングはどのように行なえばよいのでしょうか?

「体重1kgあたり0.3gのクレアチン(体重70kgなら21g)を、1日4回に分けて摂取する。これを5~7日継続することで、筋肉に蓄えられる量の上限に近づきます」(河村さん)

 この方法でお腹が緩くなったり、体調に変化をきたす場合は、1日3gを28日間にわたり摂取することで同様の効果に導くことも可能なのだそう。一度上限量に達したあとは、1日3~5gを目安にクレアチンを補給すればその状態をキープできるとのことです。

 なお、クレアチンの効果を体感できるのは、もともとの蓄積量より一定量(20mmol/kg d.w)以上増加した場合といわれています。普段の運動量や遺伝的な要因、食事などによってもともと多くのクレアチンを筋に蓄えている、もしくは蓄積しにくいなどの理由から効果を感じられない人が約30%いるようです。

糖質が多い食品と一緒に摂取するとよい

 では、サプリメントを利用する際にさらに効果アップが期待できる一緒に摂るとよい食品(栄養素)はあるのでしょうか。

「クレアチンは糖質が多い食品と一緒に摂取するのがよいでしょう。たとえばおにぎりやフルーツ、糖類が配合されたプロテインなどがあります」(河村さん)

 というのも、糖質を摂取すると分泌される「インスリン」というホルモンが、クレアチンを筋肉へ送り届ける役割をするからです。

クレアチン、いつ飲めばいい?飲むタイミング

 また、クレアチンの摂取タイミングとしては、トレーニング後(トレーニングをした日)または食後(トレーニングをしない日)が推奨されるとのこと。クレアチンは、インスリン分泌の高まっている食後やインスリン感受性が高まる筋トレ後に糖質とともに摂取すると、効率的に筋肉に届くのですね。

 最後に、クレアチンをサプリメントで摂取する場合の注意点についても挙げていただきました。

  • 腎臓や肝臓に影響を与えうる成分のため大量摂取を控える
  • 腎疾患や肝疾患、糖尿病などの懸念事項がある場合は必ず専門の医師に相談のうえ使用する
  • 初期段階では水分蓄積により体重増加が起こるので重量階級制スポーツの選手は計量前の使用は控える

 筋トレ民の味方、クレアチン。日々の食事でクレアチンを意識しながらも、サプリメントを上手く組み合わせて効果的に摂取して、最大限のパフォーマンスを引き出しましょう。

[監修者プロフィール]
河村玲子(かわむら・れいこ)
管理栄養士。全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナー。ティップネス蒲田・渋谷・日本橋にてパーソナルトレーナーとして活動。運動と食事の両面から体づくりをサポートするプロフェッショナルとしてパーソナルトレーニング、栄養カウンセリング、セミナー講師、レシピ提案、コラム執筆など幅広く活躍。監修本に『ちゃんとキレイなカラダをつくる! 女子の筋トレ&筋肉ごはん』(新星出版社)など。

<Text:パンチ広沢+アート・サプライ/Photo:Getty Images>

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