友風「大きな歓声をもう一回浴びたい」 右脚大ケガ乗り越え史上3人目の序二段転落から再入幕

2023年10月31日 04:30

相撲

友風「大きな歓声をもう一回浴びたい」 右脚大ケガ乗り越え史上3人目の序二段転落から再入幕
友風 Photo By スポニチ
 日本相撲協会は30日、大相撲九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)の番付を発表し、4年前の同じ九州場所で右膝の大ケガを負った友風が史上3人目となる序二段転落からの復帰を遂げた。新入幕4人は13年夏場所以来で、高校横綱の実績がある北の若とロシア出身の狼雅、美ノ海、東白龍が福岡市内などで会見した。碧山が十両に落ち、春日野部屋は1967年九州場所から続いた幕内力士が56年ぶりに途絶えた。
 幕内復帰の土俵は4年前と同じ九州。運命のいたずらを感じながら友風は思いを吐露する。「因縁ですかね。めちゃくちゃ怖いしドキドキしています。去年の九州は場所前に何度もケガをする夢を見ましたから」

 「悪夢」の瞬間だった。19年の九州場所2日目、土俵下に転落した際に相手の巨体が右足にのしかかり重傷を負った。前十字など多くのじん帯と筋肉が切れ、右脚のあらゆる箇所を痛める重傷。現役続行は諦めていたが「歩けないかもと言われたときは正直ショックでした」と当時を振り返る。

 4度の手術を受け番付は西序二段55枚目まで降下。何度も折れそうになった心を奮い立たせたのは周囲の支えだった。入院中は母親につきっきりの看病を受け、全身麻痺(まひ)の子供の前向きな姿に刺激を受けた。

 2年間のリハビリを経て21年春場所に復帰。幕下で2度も負け越しを経験したが師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)、尾車部屋時代から指導を受ける中村親方(元関脇・嘉風)の下で心身ともに強くなった。

 今年春場所で十両に復帰すると、そこから4場所連続勝ち越しで再入幕。「どれだけの人に支えられていたのかとケガをして分かった」と感謝の言葉は尽きないという。

 現在も右の足首は麻痺したまま、自宅の前の玄関で足を踏みはずすこともある。満身創痍(そうい)に変わりないが、奇跡のカムバックを果たしたのは紛れもない「現実」である。「感謝、恩返しの土俵」を誓う友風は「(19年名古屋場所13日目、同秋場所7日目に鶴竜から)結びで金星を取った時の大きな歓声。もう一回浴びたいです」と「夢」の続きを見据えている。

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