元関脇・寺尾の錣山親方死去 60歳 激しい突っ張りで「鉄人」と呼ばれた井筒3兄弟三男

2023年12月18日 05:30

相撲

元関脇・寺尾の錣山親方死去 60歳 激しい突っ張りで「鉄人」と呼ばれた井筒3兄弟三男
錣山親方(元関脇・寺尾) Photo By スポニチ
 「鉄人」と呼ばれ、甘いマスクと激しい相撲で人気を誇った大相撲の元関脇・寺尾の錣山親方(本名・福薗好文=ふくぞの・よしふみ)が17日午後、東京都内の病院で死去した。部屋関係者への取材で分かった。60歳だった。「もろ差しの名人」と呼ばれた元関脇・鶴ケ嶺の三男に生まれ、激しい突っ張りと機敏な動きで通算勝利は歴代10位の860勝。師匠としては元小結・豊真将や昨年九州場所で幕内優勝した阿炎らを育てた。最近は持病の不整脈の影響もあり、入退院を繰り返し、9月下旬から入院。17日未明から容体が悪化した。
 関係者によると、錣山親方の容体は17日未明から悪化。この日、堺市の冬巡業を休場し緊急帰京した小結・阿炎らは病院に駆けつけたが、師匠は帰らぬ人となった。

 錣山親方は元関脇・鶴ケ嶺の三男として生まれた。入門のきっかけは「アビ、アビ」とかわいがってくれた母親が1979年夏場所千秋楽の日に亡くなったことだった。兄2人を追って力士になることを決意。しこ名の「寺尾」は母の旧姓だった。

 父が師匠の井筒部屋から79年名古屋場所で初土俵を踏んだ。長兄・鶴嶺山(元十両)、次兄・逆鉾(元関脇)とともに「井筒3兄弟」として土俵を沸かせた。116キロと細身ながら激しい突っ張りと俊敏な動きを武器に活躍。最大の名場面は89年九州場所の千代の富士戦。激しい突っ張りで応戦し、横綱に「つり落とし」で叩き落とされた。金星は7個獲得し、89年春場所には兄・逆鉾と同時関脇を果たした。また、甘いマスクで女性ファンからの人気も高かった。最高位は関脇で殊勲賞3回、敢闘賞3回、技能賞は1回受賞した。

 幕内在位は歴代6位の93場所。通算勝利は歴代10位の860勝。初土俵からの連続出場は歴代7位の1359回。通算出場は大潮、旭天鵬、安美錦に次ぐ歴代4位の1795回。39歳まで現役を続け「土俵の鉄人」と呼ばれた。

 幕下陥落が濃厚となった2002年秋場所中に引退し、年寄「錣山」を取得。04年1月に錣山部屋を構え、小結・豊真将(現立田川親方)、小結・阿炎らを育てた。しかし、19年に次兄、20年に長兄と相次いで兄弟が死去。近年は持病の不整脈が悪化し、心臓にペースメーカーをつけていた。

 自分の愛称「アビ」と同じしこ名をつけ期待を寄せていた愛弟子の阿炎が昨年九州場所で幕内優勝を果たした際も入院中だった。今年に入ると体重は70キロ前後に落ちるなど体調を悪化させていた。

 ≪人気者アラカルト≫

 ☆愛称アビ 井筒3兄弟の末っ子で愛称は「アビ」。井筒部屋を訪れた外国人が発した「a baby(ア・ベイビー)」がきっかけ。母が79年夏場所千秋楽に亡くなると力士になることを決意、しこ名「寺尾」は母の旧姓だった。

 ☆花のサンパチ組 逸材がそろった昭和38年生まれの世代。後に横綱となった北勝海、双羽黒、大関となった小錦、関脇となった寺尾、琴ケ梅ら人気力士の宝庫だった。

 ☆イケメン 体形はソップ型(筋肉質で痩せ型)で彫りの深い顔で女性人気も抜群。ファミコンのソフト「寺尾のどすこい大相撲」のキャラクターにもなるなど“若貴”にも負けない人気ぶりだった。

 ☆名勝負 91年春場所で当時18歳で初日から10連勝だった貴花田に敗れ、さがりを叩きつけて悔しがった。現役引退後も「一番悔しかった取組」と振り返った一番。

 福薗 好文(ふくぞの・よしふみ=元関脇・寺尾)1963年(昭38)2月2日生まれ、東京都出身。父は元関脇・鶴ケ嶺の井筒親方。2人の兄に次いで父が師匠の井筒部屋に入門し79年名古屋場所で初土俵。84年名古屋場所で十両に昇進し、85年春場所で新入幕。89年春場所で関脇に昇進した。39歳だった2002年秋場所限りで現役引退。通算出場は歴代4位の1795回。通算860勝(歴代10位)938敗58休。年寄「錣山」を襲名し、04年1月に井筒部屋から独立。昨年九州場所で弟子の阿炎が幕内優勝を果たした。現役時代の愛称は「土俵の鉄人」「タイフーン」「アビ」。1メートル85、116キロ。

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