【寺尾さらば…担当記者が見た素顔】相撲愛から信念曲げず 一門の壁越えて貴乃花に賛同 実兄にも“反旗”

2023年12月18日 05:30

相撲

【寺尾さらば…担当記者が見た素顔】相撲愛から信念曲げず 一門の壁越えて貴乃花に賛同 実兄にも“反旗”
89年秋場所、千代の富士(左)を突っ張りで攻める寺尾 Photo By スポニチ
 突き押しに徹した相撲っぷりの通り、真っすぐに進むことを貫いた人生だった。
 現役時代は110キロそこそこの軽量だったが、大型力士にも正面からぶつかっていった。当時の座右の銘は「今日一日の努力」。引退後は「相撲を取るのは嫌だった。でも相撲は好きだった」と振り返ったように一切の鍛錬を怠らなかったことで、40歳目前まで関取の座を守った。

 相撲一家に育ち、大相撲に全てをささげた。根底にあったのは「今の自分があるのも、土俵という場所を提供してもらったから。その気持ちは一生忘れてはいけない」という思いだった。

 相撲への愛情が深いからこそ自分の信じたことは曲げなかった。時津風一門に所属しながら貴乃花親方の考えに賛同。18年の副理事候補選で実兄の井筒親方(元関脇・逆鉾)らと競い合ったのは「先輩、後輩関係なく意見を言える組織にしたい」という信念があったからだった。師匠が絶対である相撲界においても、信念は揺るがなかった。
 阿炎が不祥事を起こしたときは、新婚だった関取を部屋に住まわせた。厳しい指導があったからこそ、阿炎は復活し、優勝することもできた。

 現役時代は“鉄人”と呼ばれた錣山親方。その愛称には似つかわしくない早すぎる死は残念でならない。(元大相撲担当・佐藤博之)

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