バーベル筋トレ「ショルダートゥーオーバーヘッド」とは?フォームとやり方

2024年01月27日 09:00

バーベル筋トレ「ショルダートゥーオーバーヘッド」とは?フォームとやり方
 バーベルを肩の前に乗せ、直立した姿勢からバーベルを頭上に持ち挙げる動作の総称を「Shoulder-To-Overhead:STO(ショルダートゥーオーバーヘッド)」と呼びます。  おもな種目にストリクトプレス(ミリタリ […]

 バーベルを肩の前に乗せ、直立した姿勢からバーベルを頭上に持ち挙げる動作の総称を「Shoulder-To-Overhead:STO(ショルダートゥーオーバーヘッド)」と呼びます。

 おもな種目にストリクトプレス(ミリタリープレス)、プッシュプレス、プッシュジャークの3つがあり、動作は一見似ていますが、それぞれに目的と効果が異なります。また、記述した順に難易度が高くなりますので、順を追って習得していきましょう。

共通のフォームと動作をチェック

 ストリクトプレス、プッシュプレス、プッシュジャークは、どの動作も同じ姿勢で始まり、同じ姿勢で終わります。

共通のセットアップ動作

▲前と横から見たセットアップのフォーム

☑ 両手の幅は肩幅よりわずかに広くする
☑ バーベルを肩前方に乗せる
☑ 手のひらを前に向けてバーベルを握る
☑ 肘をバーベルよりも少し前方に出す
☑ 足の幅は肩幅くらいに広げる
☑ 腹筋に力を入れ、体軸をまっすぐにする

共通のフィニッシュ動作

▲前と横から見たフィニッシュのフォーム

・頭上のバーベルは重心(かかと)の真上
・肘を完全に伸ばす
・かかとをしっかり床につける
・腹筋に力を入れてバランスを取り、一旦静止する

 最初と最後が同じ姿勢なので、各動作の違いはバーベルを肩から頭上に移動させる途中の過程にあります。ただしすべての動作に共通しているのは、バーベルの負荷に抵抗して体軸をまっすぐに保つこと。これにより、体幹部分の筋肉が効果的に鍛えられます。

◆肩の筋肥大が目的なら座って行う方が効果的

 イスに座ってバーベルを持ち上げるショルダープレスだと、肩の筋肉に「効かせる」ことはできても体幹への効果は低くなります。そのため、肩の筋肥大が目的なら座って行う方が効果的です。一方で、腹筋を割りたいと思っている人には向いていません。

 あらゆるスポーツにおいて、体幹の筋肉は身体を安定させる重要な働きをします。そのため、筋トレをスポーツに活かしたいと思う場合、STOは立って行うことをおすすめします。

ストリクトプレス(ミリタリープレス)

 基本的な動作であると同時に、反動を用いないため(ストリクト)、肩の筋力を鍛えるにはもっとも適しています。

◆やり方

1.共通のセットアップ動作を行う
2.膝をロックしたままバーベルを頭上に持ち上げる。バーベルでアゴを打たないよう、頭をわずかに後方にそらし、バーベルが通過した後で頭の位置を元に戻す。
3.共通のフィニッシュ動作を行う

▲前から見たストリクトプレス

▲横から見たストリクトプレス

 初心者は、まずバーのみで10回以上連続して挙げられるようになるまで、重量プレートはつけずフォームの習得と最低限の筋力を得ることに集中した方がよいでしょう。中・上級者は1RMを測定してください。以後のプッシュ・プレスとプッシュ・ジャークにおける目標重量の設定に役立ちます。

参考記事:筋トレ効果を正しく得るために覚えておきたい指標「1RM(最大挙上重量)」とは?正しい測定方法を解説

プッシュプレス

 ストリクトプレスに膝と股関節の屈伸を加えることで、その反動を利用してバーベルを持ち上げます。そのため、より重い重量を扱うことが可能です。そうして筋肉への負荷を高めるわけですが、それと同時に下半身と体幹の動きを上半身に連動させることが重要なポイント。

 この動作の連動性は、多くのスポーツの局面(投げる・打つ・跳ぶ)で必要になる、“瞬間的にパワーを伝達するための身体の使い方”を身につけるサポートをしてくれます。

▲前から見たプッシュプレスのフォーム

▲横から見たプッシュプレスのフォーム

◆やり方

1.共通のセットアップを行う
2.セットアップの姿勢から膝と股関節を屈曲させ、体を一旦沈める
3.瞬間的に起き上がると同時にバーを持ち上げる
4.一連の動きでフィニッシュまでを行う

 ストリクト・プレスの1RMより30%ほど重い重量をこのプッシュ・プレスで挙げられるようになったら、次のプッシュ・ジャークに進んでください。

プッシュジャーク

 プッシュプレスと同じように動作を始め、もう1回膝と股関節の屈曲を加えて、低い位置でバーベルを頭上でキャッチする動作です。これは、重量挙げの種目であるクリーン&ジャークのジャーク部分にあたります。重量挙げの競技では両足を前後に開くスプリットジャークという方法が主流ですが、このプッシュジャークを使う選手もいます。

 プッシュプレスよりさらに重い重量を扱えますが、難易度も非常に高い動作です。スピードや瞬間的なパワーを向上させたいアスリート向きとなります。

▲前から見たプッシュジャークのフォーム

▲横から見たプッシュプレスのフォーム

◆やり方

1.共通のセットアップ動作
2.セットアップの姿勢から膝と股関節を屈曲させ、体を一旦沈める
3.瞬間的に起き上がると同時にバーを持ち上げる
4.膝と股関節をもう一度屈曲させ、低い位置でバーベルを頭上に持ち上げる
5.バーベルを重心線上に保ったまま膝と股関節を伸ばし、フィニッシュの姿勢になる

 手順3で、完全に膝と股関節を伸ばすことがポイントです。それがないと単なる曲がったままのプッシュプレスになってしまい、全身の力を利用することにはなりません。

 手順4で体を沈み込ませるタイミングを習得するまでには、時間がかかるでしょう。しかし、この一連の動きがうまく連動すると、もっとも重い重量を挙げることができます。プッシュプレスの1RMより、さらに30%ほど重い重量をこのプッシュ・ジャークで挙げることを目標にしましょう。

ダンベルを使う場合のポイント

 上で挙げた動作は、ダンベルで行うことも可能です。セットアップではダンベルを握った両手を中央に向け、両腕を上に伸ばします。それ以外の動作ポイントはバーベルと同じです。

ダンベルを使うメリット

 バーベルにはない要素として、ダンベルでは左右のバランスを取る必要があります。バーベルでは強い側の腕や肩(多くは利き腕側)が弱い側を助けてしまい、筋力の不均衡がそのままになってしまうことがあるでしょう。その点、ダンベルでは左右の腕がそれぞれ独立して働かなくてはいけませんので、弱い側の腕や肩も鍛えることが可能です。そのため、通常はバーベルに比べて、ダンベルで扱える重量はやや軽くなります。

 バーベルと違ってアゴを打つ心配がありませんので、疲労困憊になっても危険性は低くなります。安心して追い込めるのもダンベルを使ったSTOの利点のひとつです。

重量は軽めにして回数とスピードを意識

 バーベルラックがないので、セットアップの姿勢になるときはダンベルを肩に担ぐ動作(クリーン)が必要です。従って、ダンベルでSTOを行う場合は重量を軽めに設定し、その代わり回数を増やしたり、スピードを意識するとよいでしょう。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>

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