メッツのコーエン・オーナー「自分のビジネスのやり方ではない」GM、監督の解任ないと明言

2023年06月11日 12:48

野球

メッツのコーエン・オーナー「自分のビジネスのやり方ではない」GM、監督の解任ないと明言
メッツオーナーのスティーブ・コーエン氏(AP) Photo By AP
 メッツのスティーブ・コーエンオーナーが10日(日本時間11日)ニューヨークポスト紙のインタビューで、不振のチームについて「チームを奮い立たせるために誰かをクビにしたりしない。それは自分のビジネスのやり方ではない」とし、ビリー・エプラーGMとバック・ショーウォルター監督を今後も支えていくと表明した。
 コーエン氏はヤンキースの故ジョージ・スタインブレナーオーナーに例えられるが、監督を何度も解任したり、選手をメディアの前で批判したスタインブレナーとは違うようだ。「チームがひどい状態になっても、プランを窓から放り投げるようなことはしない。それでは何も解決しない。よく考えて行動したい。私は自分のヘッジファンドのビジネスでも、野球でもいろんな経験をしている。物事が上手く行っていても、実際思うほど素晴らしいわけではなく、とてもひどい状態でもそれほど悪いわけではない。状況はあっという間に変わるものだ」。

 さらに、「ファンは『誰かクビにしろ』と言うかもしれないが、私の答えは『誰かをクビにしてどうなる?』だ。もちろん私も今の結果にイライラしているし、選手もフロントもそう。誰もこうなると思っていなかったし、驚いている。でも手遅れなわけではない。これから弱点を直していくだけ」と説明する。

 コーエンオーナーは問題は安定感に欠ける先発投手陣だと見ている。3、4イニングしかもたず、それでブルペンが疲弊している。だがそのうち彼らが本来の力を発揮してくれると信じている。

 「開幕前は専門家たちの評価も高かったし、誰も先発投手陣が問題になるとは予想していなかった。でもそれは人生でもビジネスでも同じ。ある日目覚めたら、知らない問題が起きている。それに対処しないといけない。われわれはパニックになっていないし、私自身もそう。長く人生もビジネスも経験しているからね。ヘッジファンドでもうまくいかなかったら、みんなで知恵を出し合って解決していく。今メッツではみんなが良くしようと考えているし、私はビリー(GM)と一日中話している。これはチャレンジであり、経営者の手腕が問われている。うちのスタッフはよくやっているし、私も彼らと一緒に取り組んでいる」。

 ニューヨークのファンからのプレッシャーは大きい。「われわれのファンは情熱的だし、勝って欲しいと強く願っている。メッツ中心に人生が回っている人もいる。彼らはすぐに答えを出して欲しいと思う。しかしながら簡単に答えが出る問題ではない。衝動的になっても、チームにダメージを与えるだけだ。経営者として正しくないし、良い戦略だとは思わない。我々はリーセンシー・バイアス(近接誤差/直近の出来事が印象に残り、全体の評価が正しくなされないこと)に気を付けないといけない。チーム運営は短期でなく長期的に見るべき。私が衝動的で理性のないことをしていたら、誰もこのチームに来てくれない」。

 今季のサラリー総額は3億5900万ドル(約500億円)と史上最高で、その上ぜいたく税も1億ドル以上払う。それについての後悔はと聞かれると「もしこの半分のお金しか使ってなくて、この成績なら後悔するだろう。でもお金が理由ではないことははっきりしている。加えて何度も言っているように、この投資はしっかりしたファームシステムができるまでのつなぎだ。FA市場で獲得した選手が活躍する保証がないのはわかっている。ジェーコブ・デグロム(レンジャーズ)やカルロス・ロドン(ヤンキース)の例でもそう。私のヘッジファンドでも、よそから人を引き抜いてくるより、内部で育てた方が上手く行く。うちの会社のデータがそれを証明している。野球も違わない。安定して勝っていくチームを作るにはフリーエージェント市場は難しい場所だ」と説明した。

 このインタビューのあと、10日の試合は千賀滉大の好投でメッツが5-1とパイレーツを下し連敗脱出、31勝34敗と借金を一つ減らしている。

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