【虎番リポート】3年目の進化 石井の支えは“ケガの功名フォーク” 5月離脱時に原点見つめ直す

2023年07月04日 07:30

野球

【虎番リポート】3年目の進化 石井の支えは“ケガの功名フォーク” 5月離脱時に原点見つめ直す
6月30日の巨人戦で、フォークを投じる阪神・石井
 3年目の進化を如実に表すシーンだった。先月30日の巨人戦。石井は同点の9回に背負ったサヨナラの窮地をしのぎ、右拳を握った。1、2年目の18試合を早くも更新する今季19試合目のマウンド。無死一、二塁で岡本和を空振り三振に仕留めたのはオフから取り組んできたフォークだった。春季キャンプの段階でブルペン捕手から「シンカーいらんやん」と言われる程に手応えがあった新たな武器。5月に腰痛で離脱した1カ月弱の期間を使って磨きなおした。
 「なるべくストレートの軌道に乗せようと球速アップを求めていたんですけど、なかなか空振りが取れなくて…。キャンプの良かった時を見直した」

 原点に立ち返ったフォークの握りの意識は「中指でジャイロ気味の軌道を描くイメージ」という。横回転でも縦回転でもなく、時計回りの回転をかけることによって、垂直に鋭く落ちる特徴を持つ。「これで空振り取れなかったら笑ってください」と鳴尾浜で笑みを浮かべていた通り土俵際で巨人の主砲を封じた。続く大城卓はシンカーで二ゴロ併殺打。右打者には新球のフォーク、左打者には従来のシンカーという2種類の“落ち球”で投球の幅が広がった。

 精神面での充実も目覚ましい。「1年目や2年目は(打たれて)正直引きずっていた部分があった」。岩崎や岩貞、加治屋に島本ら経験豊富な先輩投手の振る舞いや話から矢印の向け方を変えた。「打たれるときは絶対あることを考えたら、そこで自分が後悔のない選択をできたかどうか」。6回無死一塁でバウアーをバントファウル2球で追い込みながら、3球目に犠打を許して致命的な追加点につながった先月25日のDeNA戦が最たる例だ。「ストライクゾーンから外れた高めの要求で、自分もそこに投げようと思ったけど、もう一つ意識が足りなかった。本当に防げた失点だった」。悔いなき決断と反省を繰り返し、さらなる成長への材料を求め続けている。(阪井 日向)

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