チーム一丸で独走Vの今季 数字に表れない原口の貢献があった

2023年10月05日 05:15

野球

チーム一丸で独走Vの今季 数字に表れない原口の貢献があった
阪神・原口 Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神4―5ヤクルト ( 2023年10月4日    神宮 )】 【畑野理之の談々畑】ペナントレースの最終143試合目で中野拓夢が最多安打、大山悠輔が最高出塁率を決めた。大竹耕太郎の勝率第1位は最後の最後に残念だったけども、チームスポーツは助けてもらうこともある。仕方がない。
 18年ぶりのリーグ優勝を独走で決めた。投手も野手もいい成績を残したMVP候補は複数いるのだが、ベンチにいる選手たちの存在も大きかった。原口文仁がその一人だ。この日は9回2死二塁で代打で出場して空振り三振。打率・192、2本塁打に終わり、決して満足できる数字ではないだろうが、チームの勝利のため必死に戦い、数字には表れない貢献があったと思っている。同じく代打としての出場が多かった糸原健斗と渡辺諒が「原口さんはすごい」と口をそろえる。

 「原口さんて凡打した後も、すぐにベンチの最前列に立って次の打者に大きな声で言葉をかけているんですよ。僕らはベンチの後ろの方で、なんで打てなかった…とか悔しがってしまうんですけど、原口さんを見ていたら同じようにやらないといけないと思う。やっぱり、あの人、“神”ですよ」

 ヒットを打つことが最大の目標だろうが、先に言ったチームスポーツなのでベンチを盛り上げて、グラウンドで戦っている選手たちを鼓舞して、士気を高める…という貢献の仕方もある。それを1年間、実践した。

 試合前の円陣では声出しをした選手が、その試合に勝利すれば次の試合も担当して負けるまで続くのだが、8月3日の中日戦から原口が「バモス」と叫べば10連勝して一気に優勝マジック点灯。3連敗して迎えた9月1日のヤクルト戦で馬場敏史内野守備走塁コーチから「やっぱり原口がやらないと」と再び指名されると、リーグ優勝を決めた14日の巨人戦まで11連勝した。スペイン語で“さあ行こう”を意味するバモスが、神のフレーズとして浸透した。

 「ベンチで大声?糸原と渡辺諒がそんなこと言ってたんですか?凡退したら、そりゃあ、めちゃくちゃ悔しいですよ。悔しいから声を出しているんです。大声で“ワーッ”って悔しさを紛らわせているんですよ」

 打ちたいし、時には泣きたいし、優勝に突っ走るチームに食らいつこうと必死だったという。神様じゃなくふつうに人間っぽい感情が、結果的に後輩たちに波及して一丸になった。決して神様ではなく、タイトルではないが、阪神ベンチもリーグで一番だったと思う。

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