MLBは28年ロス五輪のために公式戦を中断しハーパーのようなスターを出せるのか?AP通信が解説記事

2023年10月21日 11:31

野球

MLBは28年ロス五輪のために公式戦を中断しハーパーのようなスターを出せるのか?AP通信が解説記事
フィリーズのハーパー(AP) Photo By AP
 AP通信のデビッド・ブラント記者が20日(日本時間21日)、「MLBは28年のロス五輪のためにシーズンを中断できるのか?」と解説記事を書いている。
 スーパースターのブライス・ハーパーが出たいと表明。最強のチームUSAを結成すればもちろん盛り上がるし、野球の人気拡大につながる。

 NPBは東京五輪のために公式戦を中断、おかげでトップ選手が出場できた。MLBの場合は問題はやはり162試合の長い公式戦だ。28年の五輪はロサンゼルスで7月下旬の2週間開催される。ポストシーズンも長い。今年はワールドシリーズ第7戦は11月4日となる予定だが、28年も同じなら、ワールドシリーズは11月下旬の感謝祭近くまで行われることになる。であれば公式戦を3月半ばに早くスタートさせるアイデアもあるが、その時期、アメリカのいくつかの街は依然厳寒の中だ。加えて、7月下旬の2週間は夏休みで、公式戦でも最もお客さんが入る時期である。そして目玉イベントであるオールスターゲームもキャンセルしなければならないかもしれない。

 五輪に出ない95%の選手はその間どうするのか?保険の問題もある。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で起きたように、エドウィン・ディアスのような高給取りの選手がケガをしたら?そのための保険は誰が払っておくのか?WBCはMLBのイベントで収益はリーグとオーナーの懐に入るし、だから保険も掛けられる。さらにWBCは現時点で国際野球大会の最高峰だが、五輪にスーパースターが集うようになれば格が下がる。補償もなしでそれを許すのか?

 一方で国際大会のインパクトは野球の未来の発展のために無視できない。06年にスタートしたWBCは全て思うように行っているわけでないないが、野球ファンの記憶に残る素晴らしい瞬間を既にたくさん生み出している。今回のメキシコ対米国は4万7000人のファンが詰めかけたし、決勝の日本対米国、9回の大谷翔平対マイク・トラウトは世界中の野球ファンにとって記憶に残る名勝負となった。その試合に先発したダイヤモンドバックスのメリル・ケリー投手は「国を代表してみんなで戦う、本当に特別だった」とWBC体験を絶賛。実際参加したメジャーリーガーで否定的なことを口にする選手を見つけるのは難しいし、みんなが感激していた。

 とはいえWBCが野球の人気を世界的にどれだけ高められたかは定かではない。野球は以前地域的なスポーツで、欧州、アフリカ、南アメリカでは関心が薄い。しかしながら五輪のステージなら世界中の人々が見る。ハーパーもこう言う。「みんながWBCを好きなのは知っている。野球にとって良いイベントだ。でも五輪ではない。一番レべルの高い大会で国を代表してプレーしたい。それは夢だ」。MLBはロス五輪でシーズンを中断する十分な補償は得られないかもしれないが、野球の将来を考えると、重要な投資になるのである。

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