広島・新井監督　「選手全員にありがとう」「成長は想像通り」　下馬評覆したチームにねぎらい

2023年10月21日 05:45

野球

広島・新井監督　「選手全員にありがとう」「成長は想像通り」　下馬評覆したチームにねぎらい — ＜神・広（3）＞一礼して甲子園を去る新井監督　（撮影・奥　調） Photo By スポニチ

【セCSファイナルS第3戦広島2ー4阪神（ 2023年10月20日甲子園）】「2023 JERA クライマックスシリーズ（CS）セ」のファイナルステージ（S）は、20日の第3戦で広島が阪神に2―4で敗れた。3連敗を喫し、アドバンテージを含む0勝4敗で敗退。レギュラーシーズン2位からの日本シリーズ進出はかなわなかった。就任1年目の戦いを終えた新井貴浩監督（46）は、独走でペナントレースを制した阪神と3試合とも接戦を演じた選手の奮闘をねぎらい、来季へと目を向けた。

　秋の冷気が身に染みる。本拠地でDeNAを先手先手の攻める采配で撃破し、勇躍乗り込んだ甲子園でリーグ覇者に3連敗。越えられそうで越えられない現実を突きつけられて、新井カープ1年目の戦いは終わった。

　「3試合ともいい試合だった。タイガースは強い。でも、みんな最後の最後まであきらめずによく戦ってくれた。選手全員に“ありがとう”と言いたい」

　連日の接戦。第3戦も勝機はあった。レギュラーシーズン7戦で6敗を喫した難敵・大竹に対し、4回に坂倉の右前打で先制。1点劣勢で迎えた5回にも堂林の左犠飛ですぐさま同点に追いついた。終盤の好機で、しかし、第2戦までと同様に一本が出なかった。

　「若い選手たちは成長してくれた。チームも成長したと思う。開幕時点と現時点ではチームの力は全然違う。成長したと思う」

　16～18年のリーグ3連覇からの過渡期にあるチーム。戦前の予想は軒並み低評価だったものの、マネジメント力に秀でる新井監督は（1）我々のチームは戦いながら強くなる（2）失敗を恐れずにどんどん攻める…など、選手に明確なビジョンを示し、下馬評を覆す成果を残した。

　「開幕前は凄く評価が低かったけど、自分はそんなことないと思っていた。選手たちが“何くそ”と思って頑張ってくれた。成長は想像通りだった」

　積極的に起用することで若手を伸ばし、全盛期を知る主力の力を融合させて全員野球でつかんだ5年ぶりのAクラス、そして28年ぶりの2位。「チームを預かる者として（ファイナルSで）勝てなかったのは悔いが残る」と振り返っても、下を向く必要は全くない。

　「この経験を来年につなげていかないといけない。しっかり体を休めてリセットし、またスタートしたい」

　ヒリヒリする勝負を経験することでチームは、選手は確実にたくましくなる。セ界王者と競り合いを演じながら、あと一歩、乗り越えられなかった壁をどう打ち破るか。リベンジを果たして再びセ界の頂点へ。新井カープ2年目の挑戦が始まる。（江尾　卓也）