23年ポストシーズン、ホームチームの勝率は・366、有利なはずのホームで勝てなくなった理由は?

2024年01月25日 11:35

野球

23年ポストシーズン、ホームチームの勝率は・366、有利なはずのホームで勝てなくなった理由は?
世界一となったレンジャーズ(AP) Photo By AP
 スポーツイラストレイテッド誌のトム・ベデューチ記者が、近年MLBでホームフィールドアドバンテージが消滅しつつある理由を分析している。
 23年の公式戦はホームチームの勝率は・521で、1971年以来のワースト記録。ポストシーズンは勝率・366でやはり1970年以来のワースト記録だった。特に世界一になった23年のレンジャーズはポストシーズン、アウェイの試合が11勝0敗で、不利どころか無敵だった。

 かつてはホームでプレーする方が有利だと信じられてきたが、なぜこうなっているのか?第1の原因は球場の均質化。かつては監督がゴロを打たせる投手が多いチームでは球足が遅くなるように内野の芝生を長めに刈ったり、好投手が多かったドジャースでは本球場のマウンドを高くしたりしていた。球団によってはビジターのブルペンは意図的に荒れた状態のままにし、クラブハウスは狭く、わざとエアコンで寒くしたりもしていた。

 さらに試合で使うボールは2種類用意し、守る時のボールはあえて冷蔵庫で冷やしておいた。だが、そういう不正行為はもはや存在せず、芝生もマウンドも定められた通りにきちんと整備されているのだという。遠征チームのクラブハウスも快適でボールは決まった温度や湿度で適切に保管されている。

 第2の原因は移動も快適になったこと。球団は選手の睡眠時間を管理するエキスパートを採用。フライトの時間も、選手の身体に負担がないよう、最適な時間帯を選ぶ。40年前、MLB球団はチャーター機を使っておらず、遠征では一部屋に2人ずつ寝ていたが、今は快適なチャーター機で移動し、個室で眠れる。加えてパフォーマンスコーチや栄養士が選手のコンディションを管理し、エネルギーレベルを高く保つことができる。

 第3の原因は審判の技術が上がったこと。かつてはホーム球場の大声援に影響され、ホームチームに有利な判定を下してしまうことが少なからずあった。しかし今はテクノロジーで審判が判定の精度をチェックされ、それによって評価される時代。特に若い世代の審判はマイナー時代からそのシステムで厳しく教育されている。

 第4の原因は若い選手がプレッシャーのかかる場面でも平気でプレーできていること。かつては経験の少ない若手は敵地の雰囲気にのまれ頼りにならないと信じられてきたが、もはやそうではない。ナ・リーグ優勝決定シリーズ、若手の多いダイヤモンドバックスは一番ノイズがひどいとされるフィラデルフィアのシチズンズバンクボールパークでも落ち着いてプレー。負ければシリーズ敗退となる第6戦、第7戦でも失策はなく、5-1、4-2と快勝だった。

 最近では若手選手もアマチュアやマイナー時代に大きなステージを経験する機会があり、メジャーのポストシーズンであってもおじけづかないのである。

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