【内田雅也の追球】当たり前のプレーを普通にできる強み 2度の挟殺に岡田監督の目指す野球がある

2024年03月03日 08:00

野球

【内田雅也の追球】当たり前のプレーを普通にできる強み 2度の挟殺に岡田監督の目指す野球がある
<日・神>5回、細川をタッチアウトにする阪神・木浪 Photo By スポニチ
 【オープン戦   阪神2―3日本ハム ( 2024年3月2日    札幌D )】 阪神は守りで、2死二塁から適時打を浴びた際、二進を狙う打者走者を挟撃で刺すプレーが2度あった。
 2回裏2死二塁での左前打(左翼手・前川右京)、5回裏2死二塁での右前打(右翼手・森下翔太)である。ともに外野手は内野手に素早く低い送球を行っていた。カットした内野手が難なく、一塁を回った打者走者を挟殺できたのだ。

 監督・岡田彰布が就任以来、徹底してきたカットプレーが生きたわけだ。岡田は「1点は仕方ない。次の失点を防ぐことが大事になる」と繰り返してきた。昨年に続き、今春のキャンプでもシートノックでは愚直なほどに「全球カット」の練習を積んでいた。

 だから、試合後、練習の成果を問う質問にも「ホーム投げてもセーフやろ。それだけのことやんか」と素っ気なかった。「セーフやったらバッターランナーをアウトにするってことやなあ」。当たり前のことだと言わんばかりである。

 ただし、岡田が目指す野球は、この「当たり前」にある。できることを「普通にやる」。その積み重ねの先に勝利があるとの信念がある。ならば、「普通に」できたのは喜ばしい。

 相手・日本ハム監督の新庄剛志も「守りで勝つ」をテーマに掲げる。2021年秋の就任当初から外野手に低く、強い返球とカットへの送球を徹底している。

 阪神でともに現役選手としてプレーした間柄で「僕は岡田さん、大好きなんですよ」と話していた。昨年は「よく岡田さんの采配とか、野球に対する考え方、代走の使い方とか、ずっと勉強しながらメモっていた」と話していた。この日も試合前のメンバー交換時、何やら新庄が話しかけ、笑い合っていた。

 その点では、この日のカットと打者走者憤死は「守り」の重要性を再認識するプレーだった。

 試合は阪神が敗れた。2―2同点の8回裏、2死一塁でヨハン・ミエセスが左前打を後逸して決勝点を失った。もちろん本番では接戦終盤でミエセスが守備に就いている可能性は低いが、反省材料ではある。

 4連敗とはいえ、オープン戦。貧打とはいえ、森下が10球目を右翼へ大飛球、木浪聖也が13球粘って右翼へライナー性飛球と、打席での粘りが見えている。

 雪深い札幌。まだまだ季節は浅いが、春はそう遠くない。 =敬称略=
 (編集委員)

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