低反発バットで何が変わる? 7つの疑問を専門家に聞いた 選抜高校野球は18日開幕

2024年03月16日 04:45

野球

低反発バットで何が変わる? 7つの疑問を専門家に聞いた 選抜高校野球は18日開幕
阪神甲子園球場 Photo By スポニチ
 18日開幕の第96回選抜高校野球大会(13日間、甲子園)から、金属バットが新基準に完全移行する。投手への打球直撃防止などを目的に低反発バットに変更。旧基準よりも飛距離が落ちるという触れ込みながら、実際には何がどう変わるのか――。そこでSSK社の事業推進本部、商品管理事業部の松井尊嗣さんに7つの疑問をぶつけ、解説を受けた。(取材・構成=河合 洋介)
(Q1)正直、新基準の金属バットと木製バットでは、どちらが飛ぶ?
 「球の衝突速度や反発速度から算出される数値で比較すると、新基準の方が木製よりも間違いなく飛びます。ただし、これは固定したバットに球をぶつけて測る試験です。木製が金属より優れている点があるとすれば、木特有のしなりを使えること、900グラム以下にしてスイング速度を上げられること、好きな形に発注できることでしょうか。その点まで試験で加味することはできません」

 (Q2)「芯で打った時の飛距離は、新基準でも変わらない」との意見は正しい?
 「物理的には正しいと思います。金属バットにはトランポリンのような反発が利用されています。大きなトランポリンは中央以外でも高く飛び、小さいと中央付近でしか高く飛べませんよね。バットも同じです。低反発バットは、理論上小さなトランポリンのようなものなので、“芯は変わらず、それ以外は飛ばない”という感覚は正しいと思われます」

 (Q3)なぜ、芯以外でも「カキーン!」という高い音が鳴るの?
 「新基準は太さが細く、金属厚が厚くなっています。その差によって物理的に音が高くなる傾向にあります。安全基準の一つに音響試験があり、音の大きさに制限はありますが、高さに関する基準はありません」

 (Q4)飛距離にはどれほどの違いがあるの?
 「日本高野連の試験によると、反発性能は旧基準と比べて約6%落ちます。ただし飛距離の差については、風や球速などが複雑に関係するため、数値で示すことはできません」

 (Q5)新基準バットは値段と同様に耐久性も上がっているの?
 「芯に当て続けたと仮定した場合、使用できる年数は長くなることが想定されます。芯の金属厚が厚くなり、強度が上がっているからです。ただし根元から折れてバットの片方が飛んでいくことは、最も避けなければいけません。新基準バットでは先端に亀裂が入るようになるなど、バットの寿命が分かるように細工されています」

 (Q6)なぜ米国などの規則を採用せず、日本独自の新基準バットがつくられたの?
 「新基準には性能をより木製に近づけたいという考え方が根底にあります。太さが67ミリ(未満)から64ミリ(未満)に細くなったのも木製の平均が64ミリだからです。米国では反発性能の数値がバットの合格基準ですが、今回の新基準では耐久性など、さまざまな安全基準が設けられました。日本独自の安全なバットが今春選抜から使用されるということです」

 (Q7)今後バットは、どのように変わる?
 「新基準内で、できることは増えるでしょう。バランスなど、さまざまな要素が2、3年のうちに改良されていくことは間違いありません」

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