【内田雅也の追球】ノイジーが記録した補殺の意味 岡田監督が予告していた「臨戦態勢」が見えた

2024年03月16日 08:00

野球

【内田雅也の追球】ノイジーが記録した補殺の意味 岡田監督が予告していた「臨戦態勢」が見えた
<中・神>2回、後藤の安打で、三塁を狙う宇佐見をアウトにする阪神・ノイジー(撮影・椎名 航) Photo By スポニチ
 【オープン戦   阪神0ー0中日 ( 2024年3月15日    バンテリンD )】 補殺は英語アシスト・アウトの訳語である。送球によって打者走者や走者を刺した時につく。外野手の補殺はつまり強肩を意味する。
 阪神左翼手シェルドン・ノイジーは今春初の補殺を記録した。2回裏1死一塁、後藤駿太のフェンスに達する左翼線打球でクッション処理を行い、振り向きざまに三塁へダイレクト送球、滑り込んだ走者・宇佐見真吾を刺したのである。

 普通、左翼線突破なら二塁打である。外野守備走塁コーチ・筒井壮は「相手の選手がどれほどの走力なのかを伝えていましたから。しっかり三塁に投げてくれましたね」とたたえた。背中に目がついているかのような好判断、好送球だった。

 0―0の守り合い。「こんな試合で、あの送球は大きい」。それにあの左翼線の打球処理は「彼の得意技」(筒井)。昨季も二塁を狙う打者走者をよく刺し、セ・リーグ外野手で断トツの12補殺を記録していた。

 また、今春オープン戦でのチーム外野手補殺はこれが6個目で12球団最多である。ただ、これまでの5個(小野寺暖、近本光司、前川右京2、森下翔太)はいずれも内野手のカットマンへの送球だった。この場合、外野手と内野手にそれぞれ補殺がつく。適時打で二塁走者の生還を許しても打者走者を一、二塁間で挟殺したケースが目立った。練習時「全球カット」の送球を徹底する阪神らしさが出ている。

 ただ、筒井は「この補殺数もオープン戦ですから割り引いて考えないといけません」と話した。「各チームとも“イケイケ”で次塁を狙ってきます。本番ではこうはいかないでしょう。ただし“阪神相手ではやはり狙えないな”という抑止力にはなったと思います」

 筒井にはもう一つ確認したかった。9回表1死一、三塁。一塁走者・大山悠輔のリードはほんの半歩で第2リードもとらなかった。「左打者のライナーを警戒」との指示だったという。だが、結果は前川の一塁ライナーで飛びだし、帰塁できずに併殺を食った。「いや、あれは途中で指示が変わった」という。二塁封殺を逃れるリード、スタートに変わったか。併殺やむなしの不運だった。

 監督・岡田彰布が「15日からいく」と本番想定の臨戦態勢を予告していた一戦には、こんな細かな走者への指示も出ていた。 =敬称略=
 (編集委員)

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