浅田次郎氏も感動した「母の待つ里」NHKの映像美 ベテラン俳優陣も思わず感嘆…制作統括が語る秘話

2024年08月16日 09:30

芸能

浅田次郎氏も感動した「母の待つ里」NHKの映像美 ベテラン俳優陣も思わず感嘆…制作統括が語る秘話
NHK BSプレミアム4Kで特集ドラマ化される浅田次郎氏の最新長編作「母の待つ里」。「ちよ」を演じる宮本信子(C)NHK Photo By 提供写真
 “異色の家族小説”として大反響を呼んだ浅田次郎氏の最新長編作「母の待つ里」が、NHK BSプレミアム4Kで満を持して映像化される。16日午後8時15分から、俳優の中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介、宮本信子ら実力派俳優陣による特集ドラマを放送。高い評価を得た原作に豪華キャスト…作品の注目ポイントは?制作統括の高城朝子氏がスポニチアネックスの取材に応じ、撮影秘話を明かした。(中村 綾佳)
 岩手・遠野の美しい原風景を舞台に、「ふるさと」と「母」を温かく、そして切なく描く感動のミステリアス・ファンタジー。「私をスキーに連れてって」の一色伸幸氏が脚本を手掛け、「NHKスペシャル」や「中国王朝シリーズ」などのドキュメンタリーで原作の浅田次郎氏と度々タッグを組んできた阿部修英氏が、初めてドラマの演出を手掛ける。

 物語は、それぞれ孤独を抱えた松永徹(中井貴一)、古賀夏生(松嶋菜々子)、室田精一(佐々木蔵之介)が、宮本信子演じる“母”ちよのもとへ。還暦世代の男女3人が見つける「ふるさと」を通じ、人生の道しるべを見出していく姿を描く。

 豪華キャストによる撮影は、岩手・遠野市で1カ月間行われた。同局連続ドラマ「仮想儀礼」や、ドキュメンタリー番組「アナザーストーリーズ」などを手掛けた高城氏が制作統括を務め、美しい風景と登場人物の心情を丁寧に描写。見る者の郷愁を誘う、唯一無二のドラマをつくり上げた。

 物語を象徴する「ちよの家」の再現には、並々ならぬこだわりを詰めた。ちよを演じる宮本が自ら「お年寄りの家には、あちこちにイスが置いてあるもの」とイメージを膨らませ、番組が誇る美術班が「埃(ほこり)」など細部までこだわり抜いてセットを完成。中井、松嶋らベテラン俳優陣も、対峙した瞬間に思わず拍手してしまうほどの「リアルなふるさと」に仕上げた。

 セットを見た原作・浅田氏も「想像通り」と感動したという。高城氏は「浅田先生も“これこれ!”と、凄く褒めてくださった」と笑みを浮かべ、「ぜひ、注目して見ていただけるとうれしいです」と思いを込めた。

 視聴者にふるさとを感じてもらうため、「音」にもこだわった。高城氏は「ふるさとに帰ったときの開放感は、その風景はもちろん、鳥や虫の鳴き声といった音や、頬を撫でる風の感覚、木々などの香りにもあると思う」と分析。映像で伝えることが難しい部分だが、打ち合わせを重ね、現場の“リアルな音”を映像に取り入れた。

 「ドラマでは『風』『鳥の鳴き声』を、あらかじめ用意されたものを流すケースが多いですが…『母の待つ里』では、実際の現場で鳴いていた鳥の声、風の音、そして波の音を使用しています」。それぞれのプロがこだわり抜いた、五感を刺激するドラマとなった。

 完成された映像に、高城氏は「一緒に里帰りをしているような、登場人物と同じ体験ができると思います」と胸を張る。「遠野という土地は、人々の心の中にある原風景というか…誰もが、懐かしいと感じる景色だと思うんです。俳優の皆さんも、解放されたような感覚の中でお芝居をしていただけました」と振り返り、「豪華キャストによる芝居と芝居のぶつかり合い、上質な映像をご堪能いただけると思います。ぜひ、音量を大きめにしてご覧いただけたら」と呼びかけた。

【あらすじ】

 仕事人間の松永徹(中井貴一)にとって、それは40年ぶりの里帰りだった。おぼろげな記憶をたよりに実家にたどり着くと、母(宮本信子)は笑顔で迎えてくれた。嬉々として世話を焼いてくれる母、懐かしい家、懐かしい料理に、徹は安らぎを感じる。しかし何故だか、母の“名前”だけが思い出せない…。

 一方、古賀夏生(松嶋菜々子)も久しぶりの「里帰り」をする。夏生が向かった先も、「同じ母」が待つ家。そして、妻を失った室田精一(佐々木蔵之介)も、居場所を求めて「同じ母」が待つ「ふるさと」へ向かう…。

 ねえ、母さん。 あなたは、誰ですか?

 母の人生に何があったのか、子供たちは誰も知らない。全ての謎が解ける時、感動が押し寄せる。

※放送日
NHK BSプレミアム4K…8月16日後8・15~9・44 第1話・2話、23日同 第3話・最終話
NHK BS…9月21日後9・00~10・29 第1話・2話、28日同 第3話・最終話

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