吉田 圧巻の3連覇!“人類最強”カレリンに並んだ!
2012年08月10日 03:15
五輪
第1ピリオド1分40秒に相手の左足をとり、尻をつかせて3点先取。このピリオドをとって王手をかけた。
第2ピリオドも攻めの手を緩めず。1分33秒にはタックルから相手を場外に押し出し、1ポイント。さらにこのプレーに相手が再審判のチャレンジをし、認められなかったため吉田に1点が加点され2点。このまま試合終了のホイッスルが鳴り、歓喜の瞬間が訪れた。
バービックとは昨年9月の世界選手権決勝でも対戦。接戦の末に勝利したが「負けるかと思ったし、怖かった」と、試合後は敗戦への恐怖から涙を流した。この一戦で「研究されている」と感じた世界女王は、間合いを詰める近距離スタイルに変更。これが原因で自分を見失い、不振に陥った。女子代表の栄和人監督が「あれだけ悩んだのは吉田のレスリング人生で初めてだろう」と話すほど、長く暗いトンネルに入っていった。
「全部を出し切って最高の笑顔で終われればいい」。ロンドン入りする前、吹っ切れた表情で吉田が話した。開会式では、日本選手団の代表として騎手を務め、大役を果たした。栄和人監督(52)に加え、五輪では初めて、元レスリング選手の父の栄勝コーチ(60)がセコンドに入り、親子で戦った。
初戦、3回戦ともに勝って当然という表情。準決勝は、今年5月に58連勝を止められたワレリア・ジョロボワ(ロシア)に雪辱を果たし、ようやくガッツポーズ。そして、金メダルを獲って約束通り父を肩車し、最高の笑顔を見せた。
また、吉田はこれで3度の五輪と、02、03、05~11年世界選手権の優勝を飾り、“人類最強”と呼ばれたアレクサンダー・カレリン(ロシア)と並ぶ五輪、世界選手権12連覇を記録した。
▽吉田沙保里の父・栄勝コーチの話 最高です。最初はどうしても硬くなっていた。決勝は最後の試合だと思って、悔いのないように思いっきりやれと言った。(3連覇は)ぴんとこない。五輪に勝つだけでもすごいのに。3連覇は本当にすごい。
▽栄和人監督の話 正直、この五輪は難しいと思っていた。(吉田)沙保里もトンネルを抜けきらない感じだった。いろんな人に支えられた。まだ力を残している感じで、最後に爆発してくれた。(3連覇は)今でも信じられない。