萩野 金へ余力残し瀬戸とW決勝!あるぞ60年ぶりワンツー
2016年08月07日 05:30
五輪
男子400メートル個人メドレー予選が行われ、世界ランク1位の萩野公介(21=東洋大)が4分10秒00で決勝に進出した。ライバルの瀬戸大也(22=JSS毛呂山)は4分8秒47の自己ベストで予選を通過。56年メルボルン大会以来、60年ぶりの競泳日本人ワンツーフィニッシュの期待の懸かる決勝は、6日(日本時間7日午前10時)に行われる。
最後は余力を残してタッチ板に触れた。萩野は最初のバタフライで先頭に立つと、得意の背泳ぎで体2つリード。続く平泳ぎ、自由形は力を抜いてフィニッシュした。「最高に気持ちいいですね。だいぶ余力をもって泳いだので、こんなに速いタイムが出るとは思わなかった。決勝につながるいい泳ぎができた」。タイムは4分10秒00。ケイリシュ(米国)、瀬戸に次ぐ全体の3位で決勝に駒を進めた。
高校3年で銅メダリストとなった12年ロンドン五輪から4年。13年日本選手権で史上初の5冠を達成し、14年アジア大会では日本男子初の個人種目3冠を飾り大会MVPを獲得。好調を持続して五輪前年を迎えたが、夏の世界選手権前のフランス合宿中にアクシデントに見舞われた。午後練習への移動中に、自転車で歩道に乗り上げようとした際、段差につまずき転倒。右肘を強打した。自転車を自分で起こせず、救急車で病院へ搬送されると、右肘骨折の診断を受けて、世界選手権を棒に振った。
悔しさのあまり、試合をテレビで見ることはできなかった。母・貴子さんも「うちの息子がそこにいないことが信じられなくて」としばらく立ち直れなかったが、萩野は「俺だってお母さんみたいに落ち込んで、早く治るものならいくらでも落ち込むけど、そんな訳じゃない。もうやるしかないんだ」と前を向いた。完治するまでは下半身の強化に着手。不得意な平泳ぎの改善に取り組んだ。右肘が完全に伸び切らず背泳ぎのバランスを崩した時期もあったが、泳ぎを修正して肘が伸び切らない中での最適な泳ぎを見つけた。
五輪開幕前の1カ月は平泳ぎ五輪4冠の北島康介氏がアテネ五輪前に合宿を張った標高2300メートルのスペイン・グラナダで高地トレを敢行。万全の調整でレースを迎え、危なげなく予選を突破した。決勝では親友であるライバル瀬戸との直接対決が実現する。「2人で最高のパフォーマンスをして、日本代表に、全ての日本の人に勇気を与えられる泳ぎがしたい」。金メダル、そして60年ぶりの日本人ワンツーフィニッシュへ。舞台は整った。