【パリ五輪第8日 サッカー男子準々決勝 日本0―3スペイン ( 2024年8月2日 リヨン競技場 )】
負けたのはサッカーの質の違いだ。スペインは止める、蹴るという基礎技術が高く、日本はプレッシャーをかけられた中でのボールコントロールに差があった。先制点も三戸のコントロールミスで奪われたところから。2点目は左CKからのサインプレーでゴール前に人を集められ、その外から打たれた。あと30センチ寄せられれば防げた点だ。スペインを少しリスペクトし過ぎたかもしれない。
ボールの回し方も違った。日本は体が向いた方向にボールを止めるが、スペインは状況によって360度どの方向にでもコントロールする。精度も高く、受け手の右に相手がいれば左足に付けるなど、細かいことを当たり前にやれる。この差が大きかった。決して歯が立たなかったわけではないが、細かい部分の質は上げる必要がある。日本は強くなったが、世界もさらに強くなっている。
大会を通して見れば次のステージが楽しみになる発見も多かった。GK小久保は反応も良く安定感が抜群でA代表に呼ぶべき選手だ。MF藤田も技術、戦術眼に優れており、上のカテゴリーで質の高い選手と一緒にやればさらに良さが出るはずだ。DF高井も伸びしろがあるとみる。
スペイン戦で得点を取り消されたFW細谷は良い時と悪い時の差がある。ストライカーなら常に平均値以上を見せないといけない。体の強さとスピードは武器なのでそれを磨くこと。そしてフィニッシュの精度をもっと高めてほしい。(城彰二=元日本代表FW・スポニチ本紙評論家)