元日本代表監督・宇津木妙子氏が占う最終決戦 峰が分析した“傾向と対策”に上野が応える

2021年07月27日 05:30

ソフトボール

元日本代表監督・宇津木妙子氏が占う最終決戦 峰が分析した“傾向と対策”に上野が応える
決勝に向けてデータ収集に貢献した峰 Photo By 共同
 ソフトボールの1次リーグ最終戦で米国にサヨナラ負けし2位となった日本は、27日の決勝で再び米国と対戦する。00年シドニー、08年北京に続く3度目の日米の頂上決戦は、過去1勝1敗。元日本代表監督の宇津木妙子さん(68)は、26日の対戦に最終決戦を占うヒントが潜んでいると指摘した。
 負けていい試合、というのは存在しないというのが私の持論ですが、日本が米国に惜敗した1次リーグ最終戦は本当に意味のある一戦だったと思います。

 まずは投手サイド。今大会前から少し安定感を欠いていた藤田が、打たせて取る新たなピッチングスタイルを見せてくれたことはプラスでした。従来パワーピッチャーだった藤田が、峰の素晴らしいリードに応え、守備との連係も抜群の内容でした。完投したことで上野を休ませることができた上、新星の後藤を見せずに済んだという利点もあったように思います。もちろん決勝で藤田の登板にもメドが立ったことも大きいでしょう。

 北京五輪で上野とバッテリーを組んだ峰は、左右だけでなく上下を投げ分けさせるリードで、米国の各打者のデータをチームに持ち帰ったと見ています。これも大きな成果。その“傾向と対策”に上野がどこまで応えることができるかが鍵でしょう。米国もまだ把握しきれていないと思われる後藤は、今まで通りの思い切りのよいピッチングをしてくれればいいと思います。

 一方の米国は右腕のカルダ先発で煙幕をはってきましたが、主軸となる左腕のオスターマン、アボットもそろって1イニングだけ“試運転”してきました。これがどう出るかも決勝の見どころとなります。この日の試合はピシャリと抑えられたことになっている日本打線ですが、宇津木麗華監督はスイングするボールとしないボールを指示して、決勝への“伏線”をはったように思えて仕方ありません。

 もちろん、日本はこの両左腕を攻略するために男子投手相手の合宿も重ねてきました。冷静なオスターマンは抜群の制球力、感情を表に出すアボットは球威で押す、とタイプは異なりますが、日本側の準備はできていると思います。決勝はナイターで、球速も速く感じるとは思いますが、高めのつり球に手を出さずにしっかりコンタクトすれば、今大会の打線の迫力は日本の方が上だと感じています。

 そして最後に、どちらが勝っても、いい試合を見せてほしい。ご存じの通り、ソフトボールは24年パリ五輪で再び実施競技から外れることが決まっています。決勝という最高の舞台に立つ選手は、ソフトボールを引っ張ってきたベテランと、これからを引っ張る若手。次代の選手たちにバトンを引き継ぐため、魅力を最大限アピールしてほしいと思っています。

 ◇宇津木 妙子(うつぎ・たえこ)1953年(昭28)4月6日生まれ、埼玉県出身の68歳。NPO法人ソフトボール・ドリーム理事長、東京国際大特命教授。星野女高(現星野高)―ユニチカ垂井では主に捕手、三塁手。86年に日立高崎(現ビックカメラ高崎)監督就任。日本女子代表監督として00年シドニー五輪で銀、04年アテネ五輪で銅。05年には国際ソフトボール連盟(当時)の殿堂入り。世界野球ソフトボール連盟理事、日本ソフトボール協会副会長。

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