2カ月で日本記録3度更新 “パリの星”スポーツクライミング・大政涼は「スピードの鬼」

2022年08月31日 07:15

スポーツクライミング

2カ月で日本記録3度更新 “パリの星”スポーツクライミング・大政涼は「スピードの鬼」
愛媛でクライミングに打ち込む大政涼 Photo By スポニチ
 【オリンピアンロードの歩き方】五輪を目指すアスリートや関係者らを取り上げるコラムの今回は、スポーツクライミングの大政涼(20)。15メートルの壁を登る速さを競う「スピード」種目で6~7月に3度も日本記録を更新した24年パリ五輪の星に、これまでの歩みや今後の思いを聞いた。

 愛媛からパリを目指す20歳がいる。松山大2年の大政涼。生まれ育った地でクライミングに打ち込み、今年6月のW杯ヴィラール大会(スイス)で5秒61の日本新記録を樹立。続く同シャモニー大会(フランス)で5秒58、国内の母恵夢杯で5秒42と記録を更新し続けた。

 「ボルダリングとリードも含めて、今も3種目とも続けています。ただ、今年はスピードの日本代表になれたので、3種目ともやりつつ、スピードに力を入れている感じです」

 昨夏の東京五輪では「スピード」「ボルダリング」「リード」の複合で争われた一方、パリ五輪では「スピード」が独立。今季からW杯に参戦し、日本記録保持者となった20歳は一躍、注目を集める存在となった。

 アウトドア好きな両親のもと、幼少期から家族で山登りに出かけることが多かった。小3から体操や水泳を始め、クライミングに出会ったのは小5。自宅から車で5分程度のところにあるクライミング施設「アッセントレイ」を両親が発見した。足を運んで遊び感覚でやってみると、楽しさにはまって競技として取り組み始めた。

 中3で迎える愛媛国体に向けて練習に励んだが、県代表選手になれなかった。「めっちゃ悔しかった記憶があります」。苦い経験をバネに、高1で臨んだ福井国体はリード種目で優勝。県内の西条市には3種目の壁を備えた国内屈指の施設「石鎚クライミングパークSAIJO」があり、スピードにも本格的に取り組むようになった一昨年からは週末に通うようになり、瞬く間に力をつけた。

 小さな頃から特に運動が得意なわけではなかった。短距離走のタイムは「普通」で、高校の体力テストの数値は「普通すぎて覚えていない」という。それでも、高さ15メートルの壁を登るのは日本で誰よりも速い。

 「スピードでパリ五輪に出たい。まずは今年のW杯が残り2戦あって、世界に追いつけるようにタイムをどんどん上げていきたい」

 現在の世界記録はインドネシアのカティビンが記録した5秒00。高みを見据え、日本人未到の領域を突き進んでいく。

 ◇大政 涼(おおまさ・りょう)2002(平14)年6月26日生まれ、愛媛県松山市出身の20歳。小野小、小野中、東温高校から松山大に進み、現在は法学部法学科の2年。1メートル67、60キロ。血液型はO。家族は両親。憧れの選手は楢崎智亜(TEAM au)。最近の趣味は川遊び。

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