福井翔大が収穫 日本ノートライ完敗も新戦力手応え ジョセフHCも合格点
2023年07月09日 05:15
ラグビー
緊張は「めちゃくちゃしていた」というが、プレーでは一切感じさせない。前半8分、自陣ゴール10メートル前でジャッカルに成功。ピンチの場面で相手の反則を誘った。
80分間フル出場し、漆黒の軍団へ何度も果敢にタックル。W杯代表33人入りへ必死だった。「目の前の黒いジャージーを着た人に負けたくなかった」。NZ正規代表経験者もいる相手に接点で当たり負けしなかった。自己採点は「50点。負けたから」と控えめだが、ジョセフHCは「福井のパフォーマンスは良かった」と高く評価。敵将のマクドナルドHCも「彼にミスを誘発されたね」と認めた。
東福岡高卒業と同時にパナソニック(現埼玉)へ入団した。大学に進学せず、トップリーグでプレーするというラグビー界では珍しい進路を選択。理由は「早く荒波にもまれたかった」からだ。
狙い通り、10代からトップレベルの先輩たちと接した。だが、想像以上に厳しい世界だった。試合にも出ることはできず「何も通用しない」と痛感し、入団が早過ぎたと考えたことさえある。それでも食らいつき、代表常連組のフッカー堀江に弟子入り。全体練習後は“個別指導塾”で接点の技術や密集でのボール争奪戦の極意を伝授してもらった。日が暮れるまで終わらない2人の居残り練習は日常となった。
21年にも代表合宿に招集されたがキャップは獲得できず、昨年はケガで招集もされなかった。だからこそ「背水の陣だった」と福井。次戦は地元・九州を舞台に暴れるつもりだ。「ここから。勝つために何ができるかもっと考える」。貪欲な九州男児は次なる獲物を狙っている。
◇福井 翔大(ふくい・しょうた)1999年(平11)9月28日生まれ、福岡県出身の23歳。5歳でラグビーを始める。東福岡高では17年度に主将を務め、花園で4強。18年4月に大学を経ずにパナソニック(現埼玉)入りし、同年10月にトップリーグでデビュー。各世代別代表を経験し、21年秋に日本代表合宿に初招集された。1メートル86、101キロ。ポジションはフランカー、No.8。堀江いわく、性格は「すぐ調子に乗るタイプ」。
《鍋パ仲間と一緒にフランスへ》
【記者フリートーク】福井の入団当初に心の支えとなったのは“鍋パ”だった。パナソニック時代にチーム拠点だった群馬県太田市にあるアパートの六畳の部屋。当時練習生だったディラン・ライリーやジャック・コーネルセンと定期的にキムチ鍋を囲んだ。「お金がなかったから、1人1000円ほど出して食べていた。締めはチーズリゾット」と福井。外国出身の2人は鍋のことを「ホットポット」と呼び、言語は違えどゲームや食事を通して仲良くなった。
厳しい練習をともに乗り越え、鍋を一緒につついた3人は、日本代表でプレーするようになった。もちろん、3人全員でフランスに行くつもりだ。(滝本 雄大)
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