福井翔大が収穫 日本ノートライ完敗も新戦力手応え ジョセフHCも合格点

2023年07月09日 05:15

ラグビー

福井翔大が収穫 日本ノートライ完敗も新戦力手応え ジョセフHCも合格点
<日本・オールブラックスXV>前半、ボールを持って突進する福井(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビー リポビタンDチャレンジカップ2023第1戦   日本6-38オールブラックスXV ( 2023年7月8日    東京・秩父宮 )】 日本代表は今秋のW杯に向けたニュージーランド(NZ)代表予備軍のオールブラックス・フィフティーン(XV)との強化試合に6―38で完敗した。W杯イヤー初戦は黒星スタートとなった一方で、テストマッチ未経験のフランカー福井翔大(23=埼玉)が好プレー連発。キャップ対象外の試合ながら“代表デビュー”し、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、53)にアピールした。15日には熊本・えがお健康スタジアムで同第2戦に臨む。
 自慢のパーマヘアをなびかせた。2万2283人が駆けつけた東の聖地・秩父宮で“代表デビュー”。福井は「幸せだった。ラグビーをしてきて良かったと改めて思った」とかみ締めた。

 緊張は「めちゃくちゃしていた」というが、プレーでは一切感じさせない。前半8分、自陣ゴール10メートル前でジャッカルに成功。ピンチの場面で相手の反則を誘った。

 80分間フル出場し、漆黒の軍団へ何度も果敢にタックル。W杯代表33人入りへ必死だった。「目の前の黒いジャージーを着た人に負けたくなかった」。NZ正規代表経験者もいる相手に接点で当たり負けしなかった。自己採点は「50点。負けたから」と控えめだが、ジョセフHCは「福井のパフォーマンスは良かった」と高く評価。敵将のマクドナルドHCも「彼にミスを誘発されたね」と認めた。

 東福岡高卒業と同時にパナソニック(現埼玉)へ入団した。大学に進学せず、トップリーグでプレーするというラグビー界では珍しい進路を選択。理由は「早く荒波にもまれたかった」からだ。

 狙い通り、10代からトップレベルの先輩たちと接した。だが、想像以上に厳しい世界だった。試合にも出ることはできず「何も通用しない」と痛感し、入団が早過ぎたと考えたことさえある。それでも食らいつき、代表常連組のフッカー堀江に弟子入り。全体練習後は“個別指導塾”で接点の技術や密集でのボール争奪戦の極意を伝授してもらった。日が暮れるまで終わらない2人の居残り練習は日常となった。

 21年にも代表合宿に招集されたがキャップは獲得できず、昨年はケガで招集もされなかった。だからこそ「背水の陣だった」と福井。次戦は地元・九州を舞台に暴れるつもりだ。「ここから。勝つために何ができるかもっと考える」。貪欲な九州男児は次なる獲物を狙っている。

 ◇福井 翔大(ふくい・しょうた)1999年(平11)9月28日生まれ、福岡県出身の23歳。5歳でラグビーを始める。東福岡高では17年度に主将を務め、花園で4強。18年4月に大学を経ずにパナソニック(現埼玉)入りし、同年10月にトップリーグでデビュー。各世代別代表を経験し、21年秋に日本代表合宿に初招集された。1メートル86、101キロ。ポジションはフランカー、No.8。堀江いわく、性格は「すぐ調子に乗るタイプ」。

 《鍋パ仲間と一緒にフランスへ》
 【記者フリートーク】福井の入団当初に心の支えとなったのは“鍋パ”だった。パナソニック時代にチーム拠点だった群馬県太田市にあるアパートの六畳の部屋。当時練習生だったディラン・ライリーやジャック・コーネルセンと定期的にキムチ鍋を囲んだ。「お金がなかったから、1人1000円ほど出して食べていた。締めはチーズリゾット」と福井。外国出身の2人は鍋のことを「ホットポット」と呼び、言語は違えどゲームや食事を通して仲良くなった。
 厳しい練習をともに乗り越え、鍋を一緒につついた3人は、日本代表でプレーするようになった。もちろん、3人全員でフランスに行くつもりだ。(滝本 雄大)

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