関脇・豊昇龍が初優勝 大関昇進が確実に 北勝富士との優勝決定戦制し涙

2023年07月24日 05:30

相撲

関脇・豊昇龍が初優勝 大関昇進が確実に 北勝富士との優勝決定戦制し涙
<大相撲名古屋場所 千秋楽>優勝賜杯を八角理事長(右)から授与される豊昇龍(撮影・成瀬 徹) Photo By スポニチ
 【大相撲名古屋場所千秋楽 ( 2023年7月23日    愛知・ドルフィンズアリーナ )】 関脇・豊昇龍が初優勝を飾り、場所後の大関昇進を確実にした。本割で新入幕・伯桜鵬を上手投げで下し、12勝3敗で並んだ北勝富士との優勝決定戦は押し出しで制した。初土俵から所要33場所での優勝は、年6場所制となった58年以降で9番目の速さ(幕下、三段目付け出しを除く)。関脇として春場所で10勝、先場所は11勝を挙げ、直近3場所合計が昇進目安の33勝に到達。審判部が昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱・北勝海)に要請し、受諾された。26日にもモンゴル出身7人目の新大関が誕生する。
 北勝富士を押し出して初優勝を決めると、豊昇龍は目元を両手で覆った。賜杯を受け取った後のインタビュー。別人のように笑みをたたえた24歳は、賜杯の感触を問われ「全然覚えてないです」とはにかんだ。

 土俵上であふれ出た涙については「出ちゃったですね。我慢したけれど、止まらなかった」。叔父の元横綱・朝青龍(42)を思わせるスピードと技の魅力、そして喜怒哀楽豊かなキャラクターだった。

 伯桜鵬との本割は左から張って左四つ。「この若手には負けてはいけないと思った」。右上手を引くと、息つく暇も与えず上手投げで19歳を土俵へ沈めた。

 優勝決定戦では北勝富士より低い攻めで圧倒した。同じ北勝富士に押し出された12日目、敗因になった引きを今度は北勝富士に使わせて突破口にした。愛知県春日井市出身の師匠・立浪親方(元小結・旭豊)のご当所で大仕事をやり遂げた。

 確実とした大関昇進について「夢のところ。しっかり一から稽古して大勝ちできるように頑張りたい」。初優勝を報告したい人を問われ、「(立浪)親方、叔父さんに伝えたいです」と照れ笑いした。

 先場所後、母国モンゴルへ4年半ぶりに帰国した。星空に癒やされ、バギー(全地形対応車)で登った山でリフレッシュ。元朝青龍と組み合って技の練習もした。その際、21年前に自身が決めた名古屋場所での大関獲りと初優勝を厳命された。

 元朝青龍から「筋肉が硬くなる」として、部分的にしか許されなかった筋力トレーニングはついに全面解禁の了承を得て、6月から始めた。320キロが日本記録とされる、バーベルを体が起きるまで引き上げるデッドリフトは280キロ。背筋や太腿の後ろが強く、投げの強さを裏付ける。7日目は26キロ重い朝乃山を上手投げ、この日は伯桜鵬をねじ伏せた。

 モンゴルで同じ柔道道場に通った霧島には先を越されたが、1場所で追いつくことになる。叔父が3場所しか在位しなかった大関で、最高位を目指していく。

 《豊昇龍こんな人》
 ☆本名 スガラクチャー・ビャンバスレン
 ☆生まれ 1999年5月22日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の24歳
 ☆来日 15年にデルゲルバヤル(十両・欧勝馬)、ジャミントクトホ(三段目・朝白龍)と同じ飛行機で来日。柏日体高(千葉)にレスリング留学。高1の途中で相撲部に転籍
 ☆相撲実績 高2では高校総体個人ベスト8、3年時に関東大会重量級優勝。高校総体は個人決勝でアマルサナー(十両・狼雅)に敗れ、準優勝。国体は少年の部で個人3位
 ☆入門 立浪親方にスカウトされ、立浪部屋入り。豊昇龍のしこ名で18年初場所初土俵
 ☆しこ名 師匠の現役時代のしこ名から「豊」、叔父さんの「ショウリュウ」から上がる意味を込め「昇」龍に
 ☆新入幕 20年秋場所
 ☆新三役 22年春場所に小結、同年秋場所に関脇に昇進。新三役昇進から9場所連続で勝ち越し中
 ☆三賞 技能賞2、敢闘賞
 ☆家族 父は元横綱・朝青龍の兄、母と兄、弟
 ☆サイズ 1メートル88、142キロ

 《記録アラカルト》
 ☆モンゴル出身 朝青龍25回、白鵬45回、日馬富士9回、旭天鵬1回、鶴竜6回、照ノ富士8回、玉鷲2回、逸ノ城1回、霧馬山(霧島)1回に次ぐ10人目。今年春場所から3場所連続。
 ☆初優勝 今年春場所の霧馬山(霧島)以来、優勝制度創設後では117人目の優勝力士。
 ☆関脇優勝 今年春場所の霧馬山(霧島)以来34回目。
 ☆立浪部屋 現師匠が99年2月に継承後は初。かつては双葉山らを生んだ名門で、部屋としては1968年春場所の若浪以来55年ぶり。

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