高野進氏 前傾から16歩目まで落ち着いていたサニブラウン、準決勝以降が楽しみ

2023年08月20日 18:00

陸上

高野進氏 前傾から16歩目まで落ち着いていたサニブラウン、準決勝以降が楽しみ
男子100メートル予選、10秒07の6組1着で準決勝に進出したサニブラウン・ハキーム(中央) (AP) Photo By AP
 【陸上・世界選手権第1日 ( 2023年8月19日    ハンガリー・ブダペスト )】 【高野進の目】男子100メートルの予選に日本の3選手が出場した。
 走った順番からいくと、まずは坂井。得意のスタートは予定通りだったと思うが、ラストの20メートルで足が前に出なかった。今年、彼の良かったポイントが、後半の減速が少なかったこと。ただ、日本選手権あたりからケガを抱えていたと聞く。準備が間に合わなかったのかな、という印象を持った。

 次に、サニブラウン。スタートの反応は速くなかったが、前傾から16歩目までが非常に落ち着いていた。スタートからトップスピードまで乗っていく動きがスムーズで、後は楽に走れたと思う。

 彼が失敗するときは、スタートからの組み立てがうまくいかなかったときが多い。その不安要素が今回は感じられなかった。6月の日本選手権で振るわなかったとはいえ、元々、彼はこの大会に合わせてきていると思う。

 日本選手権がゴールじゃなく、世界選手権でどう走るか。彼自身のピーキングの技術も良くなってきている。あのラストの余裕を見ると次も楽しみだし、気負わずに走れば、9秒台に入ってくるんじゃないか。

 最後に、初出場となった100メートルで準決勝に進んだ柳田。彼自身、予選を突破できた一方で、レース自体に納得はいっていないんじゃないかと思う。最初に離されてしまい、そこで力が入ってしまって、タイミングが合わず無理に体を動かしている感じがあった。

 短距離はタイムだけじゃなく、力と力のぶつかり合いでもある。走っているときに視界が開けると走りやすいが、前に出られて離されると難しさがある。相手の圧力を受けながら、どう前に出ていくのかが大きなポイントとなる。

 ただ、彼は世界選手権の100メートルが初めてで、こういったレースを走ることは少なかったと思う。強い相手にどう立ち向かっていくのか。今後に向けた貴重な経験になったはずだ。 (男子400メートル前日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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