【ラグビー大学選手権決勝】“バラバラ”から心一つに V3帝京大・江良主将「味わったことのない幸せ」

2024年01月13日 21:42

ラグビー

【ラグビー大学選手権決勝】“バラバラ”から心一つに V3帝京大・江良主将「味わったことのない幸せ」
<帝京大・明大>胴上げされる帝京大・江良主将(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビー全国大学選手権決勝   帝京大34―15明大 ( 2024年1月13日    東京・国立競技場 )】 節目の60回目の大会は決勝を迎え、帝京大が34―15で明大を退け、3大会連続12度目の優勝を果たした。09~17年に達成した前人未踏の9連覇に続く2度目の3連覇は、史上初の偉業。雷接近による55分間の中断、2度のトライ取り消しという逆境を、「ONE HEART(ワンハート)」で乗り越えた。
 「今まで味わったことのないうれしさ、幸せを感じた」。前半27分に追加点の、後半37分には勝利を決定付けるトライを自ら奪ったフッカー江良颯主将(4年)は喜びをかみ締めた。新チームがスタートした昨年3月。現4年生が3日間を掛けて話し合い、主将の就任とともに、スローガンが決まった。

 江良、フランカー奥井、WTB高本ら先発15人中10人を占めた4年生は、新型コロナウイルスが世界を覆い始めた20年4月に入学した。過去3年間は一堂に会すことはおろか、感染防止の観点からA~Dチームで練習時間はバラバラ。食堂では全員が同じ方向を向いて黙食した。一体感を欠いたまま最終学年を迎えた時、強く思ったという。「C、Dチームの支えや思いを知らないと日本一になれない。ここ一番で欠点になる」と。

 全部員、特に一度もファーストジャージーを着たことのない選手も主体性とチーム愛を持たせるため、新たに導入したのが各委員会の設置だった。施設管理など7つの委員会を作り、全選手に役割と責任を与えると、次第にチームは一体感を増した。コロナによる規制がなくなった今回は、ノンメンバー全員が試合後にピッチに降り、表彰式後にはメンバーと抱き合って喜んだ。「全員が喜んでいる姿を見て、ワンハートになれたなという実感が湧いた。涙が出た」。目指していた光景が、そこにはあった。

 1年生からレギュラーとして試合に出続け、プレーヤーとしては超一流でも、リーダーとしては未知数だった江良。主将に就いた直後、岩出雅之前監督から授けられたのが、「前を見ることも大事だが、後ろを振り返るのも大事。前ばかりを見るとまとまらないし、勝負どころで力が出ない」との金言だった。1年間、忠実に実践し、たどり着いた頂点。後半のトライ直後に両足がつり、「最後まで試合に出続ける」という目標は残り2分で未達に終わったが、稀代のリーダーとして、大学ラグビー史にその名を刻んだ。

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