【東京マラソン】わずか41秒 西山号泣…パリ切符逃す 日本勢トップ9位も「オリンピック行きたかった」

2024年03月04日 05:30

マラソン

【東京マラソン】わずか41秒 西山号泣…パリ切符逃す 日本勢トップ9位も「オリンピック行きたかった」
ゴールし、うなだれる西山(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【東京マラソン ( 2024年3月3日    東京都庁~東京駅前 )】 パリ五輪代表の残り1枠を決定する「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」の最終選考会として行われた男子は、22年世界選手権代表の西山雄介(29=トヨタ自動車)が自己ベストの2時間6分31秒で日本勢最上位9位に入ったが、設定記録2時間5分50秒を突破できなかった。代表3枠目には、昨年10月の選考会MGC3位の大迫傑(32=ナイキ)がマラソンでは2大会連続の出場権を獲得した。
 花の都に、わずか41秒足りなかった。フィニッシュラインを通過した西山は、その場で崩れ落ちた。顔を両手で覆い号泣。日本勢トップながら設定記録には届かなかった。「オリンピックに行きたかった。その一言に尽きる」。寡黙な男は現実を受け入れると、また涙があふれた。

 まさかのアクシデントが襲った。日本勢先頭集団で迎えた19キロ付近、前を走るケニア人選手の脚が引っかかり複数人を巻き込んで転倒。すぐに起き上がって集団に追いつき、33キロで日本勢トップに立った。五輪連覇中のキプチョゲ(ケニア)も抜いた35キロ時点では設定記録を上回るペース。だが、その力走もあと一歩及ばなかった。右肘に血がにじみ、転倒直後は右腕に痛みが走ったが「転倒で逆に気持ちを切り替えられた。影響したことはない」と言い訳はしなかった。

 22年世界選手権では13位。手応えをつかんで挑んだ昨年10月のMGCは46位に沈み「引退しようか考えた」という。それでも、夢舞台の思いを支えたのは家族の存在。「1歳4カ月の娘が歩いたと思ったら、急に階段を上り始めた。僕自身も、もう少しだけ頑張って娘と同じように成長したい。妻と娘の2人をパリに連れて行きたいという一心だった」。MGCから再起の5カ月後、待っていたのは残酷な結末だった。

 「この五輪が最後の挑戦だと思い、全てを懸けてやってきた」。駒大卒業後、あえて厳しい環境に身を置くため名門トヨタ自動車入りした実力派ランナーに、偽りの言葉はない。「少しゆっくりして、今後どうするか考えたい」。一つの挑戦が終わりを告げた。

 ◇西山 雄介(にしやま・ゆうすけ)1994年(平6)11月7日生まれ、三重県松阪市出身の29歳。伊賀白鳳高3年時に全国高校総体1500メートル3位、5000メートル7位入賞。駒大では学生3大駅伝にフル出場。箱根駅伝は1年から3年連続7区を走り、4年で1区6位。17年トヨタ自動車入り。22年2月の別府大分毎日でマラソンデビュー。22年世界選手権での2時間8分35秒は同大会における日本勢最高記録。1メートル73、57キロ。

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