熱さの裏に無数の気遣い 巨人若手へ最高の教科書になった松田の姿

2023年10月16日 08:00

野球

熱さの裏に無数の気遣い 巨人若手へ最高の教科書になった松田の姿
<松田 引退セレモニー>松田(中央)はナインとともに”アツオォー!”ポーズを決める (撮影・西川祐介) Photo By スポニチ
 多くの若手が泣いていた。今季限りで現役を引退した巨人・松田宣浩内野手(40)の2軍最終打席。9月30日にジャイアンツ球場で行われたイースタン・リーグ西武戦の8回1死一塁で代打出場。ドラフト1位の浅野や同2位の萩尾らが涙を拭いながら、その姿を目に焼き付けていた。
 ジャイアンツ球場でともに過ごすことが多かったとはいえ、チームメートの期間はわずか1年。それでも、その涙に、松田がどれだけ大きな存在だったかが表れていた。

 長年、野球界をけん引してきた元気印。20代の記者にとっても、学生時代にテレビで見ていたスーパースターだった。試合だけでなく、練習でも、居るだけで空気を変えられる「熱男」。1軍でも、2軍でも変わらない姿に、本当にイメージのままなのかと驚かされた。結果が全ての世界で、気持ちの浮き沈みを出すことなく、声を出し続ける。変わらないからこそ、若手に響いていた。

 凄さは目に見える部分だけではなかった。引退表明後のジャイアンツ球場。記者に「内田さんに電話したよ」と話しかけてくれた。記者が拓大野球部在籍時の監督が内田俊雄氏で、松田の亜大入学時の監督だったため、何度か話をさせていただいたことはあったが、それも巨人加入当初。それでも、その話を覚えてくれていた。それだけではない。内田監督に電話すると、19年の監督退任時には拓大のグラウンドまであいさつに来てくれたという。

 縁を大切にしてくれる人だ。拓大で記者の1学年下のソフトバンク・野村勇も、入団が決まると松田から電話をもらったという。そこからは自主トレにも同行。母校が同じではなくても、同じ指導者の下で野球をした仲間として、受け入れてくれた。野村は、松田の誕生日にTシャツをプレゼント。松田は「勇ちゃん賢いからね。良い物が返ってくると思ってるから」と照れ隠ししたが、慕われていることが分かる出来事だった。

 亜大の後輩でもある北村拓も「僕が1軍に行く時に毎回“頑張れよ。絶対落ちてくんなよ”とLINEを頂いていて、落ちる時も“また頑張るぞ”といつも言ってくれていた」と感謝した。誰にでも分け隔てなく、さりげない気遣い。浅野の「目指すべき人」という言葉が、まさにその通りだった。(記者コラム・小野寺 大)

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