ロッテCSファーストステージ最終戦の劇的サヨナラ 大塚コーチに聞いた裏側 

2023年10月27日 12:15

野球

ロッテCSファーストステージ最終戦の劇的サヨナラ 大塚コーチに聞いた裏側 
<ロ・ソ>10回、岡(右)がサヨナラの生還を果たし歓喜のロッテナイン(撮影・岡田 丈靖) Photo By スポニチ
 ドラフト会議から一夜、各球団から指名された選手たちはどんな気持ちで朝を迎えたのだろうか。来季、年齢に関係なく新人と呼ばれる彼らは、プロ野球という世界で活躍することを夢見て心躍らせていることだろう

 3月のWBC優勝で国内の野球熱も盛り上がる中でスタートした今季のプロ野球は、残すところ日本シリーズだけとなったが、ここまでにも劇的と呼べる試合が多くあった。ロッテ担当として見た試合の中では、10月16日、ソフトバンクとのCSファーストステージ最終戦の逆転サヨナラ劇が最も印象に残っている。0―0の延長10回に3点を失い、その裏に4点取り返す試合なんて見たことない。というか想像さえしていなかった。

 あの試合のヒーローを一人だけ挙げるとしたら、間違いなく同点3ランを放った藤岡だろう。負ければ敗退の崖っ縁から土俵中央まで押し返す起死回生の一発の価値は大きい。しかも、2位のロッテは引き分けでもファイナルステージ進出が決まる状況だったので、CS進出を決めた一打と言っても過言ではない。

 ただ、あの試合のヒーローは一人ではなかった。7回まで無失点と好投した先発の小島、延長での3失点に諦めることなくチャンスをつくった角中、荻野のベテランコンビ、サヨナラ打を放った安田もそうだし、一塁から好走塁で一気に生還した岡もヒーローの一人だ。そして彼らを支えた周囲の全ての人たちの力があって、あの劇的な勝利は生まれたのだと思う。

 後日、三塁コーチャーを務める大塚1軍外野守備兼走塁コーチに話を聞く機会があった。大塚コーチには以前、ギリギリのタイミングの時の判断基準について質問したことがあり、あの場面はセーフならサヨナラ勝ち、仮にアウトになっても同点で延長が継続される状況だったことから、いわゆる“勝負”に出たのだと思っていたが、答えは違っていた。

 「自分も回すつもりだったし、岡も行く気だった。もっと楽にセーフだと思っていた」

 右翼手が打球を捕球した位置、中継の位置と肩、そして岡の走力などの情報から瞬時に判断したという。さすがプロと、うならされたが、大塚コーチが強調したのは岡への信頼。「こちらが回そうと思っても走者にその気がなければ、絶対に無理。岡は普段から次の塁を狙う意識が高く、走塁技術も高い。だから迷いはなかったよ」。常に次の塁を狙うのはロッテ野球の真骨頂だが、誰もが簡単にできる訳ではない。

 高い技術と意識を持った厳しい選手たちがしのぎを削る厳しい世界。そこに飛び込み選手たちの前途が輝かしいものになることを願っている。(ロッテ担当・大内 辰祐)

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