ユニバーサルDHになっても大谷、オルティスのような偉大な指名打者は希少価値、その理由は?

2023年11月13日 11:54

野球

ユニバーサルDHになっても大谷、オルティスのような偉大な指名打者は希少価値、その理由は?
現役時代のオルティス氏 Photo By スポニチ
 MLBでは22年シーズンからユニバーサルDHとなり、30球団全てで指名打者を使える。これで往年のデビッド・オルティス、エドガー・マルティネス、フランク・トーマスのような指名打者専門の偉大な打者が増えていくのかと思いきや、必ずしもそうなってはいない。
 DHで130試合以上に先発したのは、23年はエンゼルスの大谷翔平と、ブレーブスのマルセル・オズナ、ナショナルズのジョーイ・メネセスの3人だけ。22年は大谷とレッドソックスのJD・マルティネスだけだった。

 23年、各球団の指名打者のポジションのOPS(出塁率+長打率)はエンゼルスが・995で断トツの1位で、・850を超えているのはフィリーズ、ブレーブス、ドジャースの3球団だけ。一方でOPS(出塁率+長打率)が・700にも届かないチームはブルワーズ、ガーディアンズ、ダイヤモンドバックス、タイガース、レッズ、マリナーズと6球団もあった。

 なぜ打つことが専門のポジションなのに、打撃成績がパッとしないチームが多いのか?AP通信がその理由を分析している。

 マリナーズの編成本部長ジェリー・ディポトは「多くの優れた打者はDHで打つだけということを好まない。ただ打つだけで、2、3イニングもダグアウトで出番を待っていたくない。守りもやって、ゲームの中で戦い続けたいから」と説明する。アストロズのヨルダン・アルバレスは23年は40試合スタメンで左翼を守っている。フィリーズのブライス・ハーパーも来季はフルタイムの一塁手だ。加えて、多くの球団がDHのポジションを複数の選手で使い回すことを好む。長いシーズンの間には、ケガで守れない選手もいれば、守備で休みを取りたい選手も出てくるからだ。

 ダイヤモンドバックスは指名打者のポジションがファングラフスのWAR(Wins Above Replacement/打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標)で-1・4と、代替可能な控え選手よりも下だった。OPSも・676で、チームのOPS・730よりも54ポイントも低い。しかしながらマイク・ヘイゼンGMは「もっと数字が出た方が良いのは確かだが、WARでは現れない価値がある」と説明する。守備の負担を減らし、野手をフレッシュな状態に保てる。そもそもチームは育成の段階から、打つだけの選手は作りたくない。メジャーのベンチ入りメンバーは野手が13人~14人。よほどの優れた打者でない限り、守れない選手が入る余地はない。若手有望株で打つことが抜群の選手がいれば、メジャー昇格までに、守備で守れる場所を作り出す。だから、今現在、DH専門で130試合以上に先発できる人材はなかなかいない。ジャイアンツのファーハン・ザイディ編成本部長は「デビッド・オルティスのような選手がいればいいが、そういう打者はなかなか見つけられない」と明かす。

 オルティスはMVP投票で5位以内が5度、オールスター選出10度、通算541本塁打、OPS・931だった。22年に野球殿堂入りを果たしている。このオフも、大谷を除くDH候補のFA選手は、リス・ホスキンス、JD・マルティネス、ホルヘ・ソレア、テオスカー・ヘルナンデスらだが、オルティスのレベルではない。ジャイアンツは23年、DHに10人の打者を起用したが、打率・248、26本塁打、84打点だった。複数の米メディアがジャイアンツが大谷に総額5億ドルを上回り、最大額のオファーをするのではと予測している。

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