井端ジャパン執念采配サヨナラ初陣V 1点追う延長10回タイブレーク先頭・森下に“ピンチバンター”古賀

2023年11月20日 05:00

野球

井端ジャパン執念采配サヨナラ初陣V 1点追う延長10回タイブレーク先頭・森下に“ピンチバンター”古賀
<日本・韓国>サヨナラ勝ちで優勝を決めて胴上げされる井端監督(撮影・尾崎 有希) Photo By スポニチ
 【アジアプロ野球チャンピオンシップ2023・決勝   日本4-3韓国 ( 2023年11月19日    東京D )】 予選リーグ1位の侍ジャパンは19日、決勝で同2位の韓国を相手に延長10回タイブレークの末、4―3でサヨナラ勝ち。17年の第1回大会に続く大会連覇を果たした。延長10回に3―3に追いつき、2死満塁から門脇誠内野手(22)がサヨナラ左前打を放ちMVPを獲得。初陣だった井端弘和監督(48)は、26年のWBC、28年のロサンゼルス五輪へつながる若手育成もテーマとする大会で、手応えの優勝を飾った。
 勝利のポイントは1点を追う延長10回の「ピンチバンター」だった。井端監督が中日時代の背番号と同じ6度、若き侍の手で宙を舞った。

 「非常にホッとしている。選手の頑張りで勝つことができた」
 タイブレークの末のサヨナラ勝利。無死一、二塁から始まるタイブレークで、今大会11打数5安打で打率・455の森下に代えて、古賀を代打起用した。現役時代248犠打の井端監督はなぜ強行ではなく「ピンチバンター」を選択したのか――。予選リーグ3試合で犠打は0だった。

 「タイブレークじゃなかったら森下に打たせた」と振り返る。タイブレークは試合の流れがいったん途切れる。無死一、二塁でも押せ押せムードとは違う。ビハインドは1点で、まずは追いつきたい。森下はシーズン中に犠打企画もなく、表の守備中に「1点差なら(犠打で)送ろう。2点差なら森下を打たせよう」と決めていた。

 ピンチバンターに選択したのは古賀。西武で今季17犠打した姿を解説者として見ていた。大会初日の練習時に他の選手が緊張で固まる中、一人リラックスして自身に話しかけてきた平常心も買った。高めの142キロ直球を投前に転がし、1死満塁となり坂倉が同点の中犠飛。続く万波も申告敬遠されたが、2死満塁から門脇が左前にサヨナラ打を放った。

 「非常に難しい場面で、古賀選手が決めてくれた。感謝したい」

 理想の監督像はここぞの場面で声をかけらる人物。古賀に「頼む」と一言だけ言った。自身も北京五輪予選韓国戦でピンチバンターを経験。助言をされても耳に入らないことが分かっていたからだ。サヨナラ打の門脇には、前打席のチャンスで凡退したため「強引に引っ張っていた。いつも通りに」と言った。

 栗山前監督からバトンを受けた直後は重圧から、習慣としている夜一度だけの「一日一食生活」でも喉を通らなくなった。睡眠薬に頼る夜もあった。「スタメン発表」はグループLINEで行った。大会前日、コーチ陣との話し合いで打順を決定したのは夜遅い時間。選手に当日に伝えるよりも前夜から準備ができるように配慮し、チームスタッフにスマホで伝えてもらった。

 契約は来年11月のプレミア12までが前提。次大会はNPBフル代表で臨む。この日の4万1883人の大観衆が3月のWBC、巨人戦を通じて今季の東京ドーム最多だった。試合後のミーティングで「春のWBCよりお客さんが入っていた。それだけ若い選手に期待している」と伝えた。そして、「シーズンで成長し、ぜひまた侍ジャパンで会いましょう」と号令をかけた。(神田 佑)

 ≪成功率より経験値重視≫延長10回の攻撃時にベンチに残っていた野手は古賀、石橋、野村、野口、秋広の5人。5人の今季の犠打成功率は、上から順に石橋.857、古賀.810、野口.750、秋広.400、野村なしだった。成功率なら石橋だが、今季の企図数は7度(6度成功)。古賀は21度の企図で17度成功しており成功率よりも経験値を重視した采配だった。

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