ドジャースの華々しい補強の裏側で、MLB機構が抱える2つの問題点とは、米記者が指摘

2023年12月24日 13:48

野球

ドジャースの華々しい補強の裏側で、MLB機構が抱える2つの問題点とは、米記者が指摘
MLBロゴ
 米ネットメディア「ザ・スコア」のトラビス・ソーチック記者が23日(日本時間24日)、ドジャースが野球界で最も興味を引くチームになり、新たな帝国を築き上げようとしていることの是非について言及している。
 プラス面はドジャースへの関心が高まり、全米どこの球場に行っても観客動員が増え、ポストシーズンに進出したらTV中継の視聴率も上がること。国際的にも名前が通った球団で、MLBの市場は広がり、グッズも売れる。

 一方で問題なのは西海岸のチームゆえ、米国の人口の多くを占める東部時間の地域では、試合開始時刻は夜の22時。ゆえに夜遅くまで起きて試合を見る人は限られ、MLB機構としてはそこを残念に感じている。

 加えて、ビッグマーケットチームとスモールマーケットチームの格差がさらに広がったように見えること。このオフ、ドジャースはFA市場で10億5300万ドル(約1499億円)の補強をしているが、この額は他の29球団の総額8億9300万ドル(約1272億円)を上回っている。

 スモールマーケットのパイレーツの過去10年間の開幕時のサラリー総額は、足し合わせて7億1800万ドル。今回の大谷一人分の7億ドルをほんの少し上回るだけだ。

 ドジャースにこれほどの補強が可能なのはオーナーグループの莫大な資金力に加え、地元ケーブルTV局と25年総額83・5億ドル(約1兆1890億円)の巨額の契約を結んでいるから。

 一方で今現在、スモールマーケットからミドルマーケットの多くの球団は、中継を担当していたバリースポーツが破産裁判の過程にあり、放映権料収益の先の見通しが立たず、出費を控えている。

 そのため、ソーチック記者は、MLBのオフのFA選手争奪戦は、NFLやNBAに比べて面白くなくなっていると見る。他のリーグではサラリーキャップ制度があり、チームのサラリー総額の上限だけでなく下限も決まっているから、全球団がFA選手の獲得合戦に参加し、各球団のフロントは知恵を絞って、なんとか効果的な補強をと競い合っている。ファンもドキドキしながらその過程を見守る。

 一方でMLBは使える金額に上限がないため、ビッグマーケットチームの競争で金額は高騰、スモールマーケットチームは早々に蚊帳の外。下限もないから、一部のスモールマーケットチームは最初から補強を諦め、レベニューシェアーで降りてきた資金を懐に貯め込んでいる。

 近年の例を見てもブルワーズ、ガーディアンズ、マーリンズ、パイレーツなどはFA市場で目玉商品にお金を費やすことはない。ゆえにこういったチームのファンはFA選手の争奪戦に興味を持てない。全米中継の試合の放映権料金は、NFLが圧倒的に高くなっており、NBAもMLBよりも上だ。その理由はこういったことにもあるのではとソーチック記者は指摘する。ドジャースへの関心が高まり、国際的にも市場が広がるのは良い。しかしアメリカ国内での人気を考えると、問題点を指摘せざるをえない。

おすすめテーマ

2023年12月24日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム