DeNA「部長進化論」連載スタート 第1回は35歳の「スカウト部長」長谷川氏の進化論

2024年02月05日 12:00

野球

DeNA「部長進化論」連載スタート 第1回は35歳の「スカウト部長」長谷川氏の進化論
キャンプ地でグラウンドを見守るDeNA・長谷川スカウト部長 Photo By スポニチ
 DeNAの今季スローガンは、26年ぶり日本一を目指す「横浜進化」。その悲願を達成するため日々奔走する球団部長を紹介するDeNA「部長進化論」の連載が、今日からスタートします。沖縄・宜野湾キャンプのオフに「5回連載」で5部長を紹介。第1回は23年12月1日に「スカウト部長」に就任した長谷川竜也部長(35)の進化論!(構成、DeNA担当・大木 穂高)
 野球ファンがプロ野球の「スカウト部長」と聞けば、プロ野球経験豊富でプロ・アマ球界に精通し、ドラフト戦略にも長けた「迫力ある」部長をイメージするだろう。だがDeNAのスカウト部長は、そのイメージを根底からくつがえす35歳。「野球畑未経験」の入社3年目だ。イメージとはちょっと違う。

 長谷川氏は中学、高校時代はサッカー部のFW。大学でもサークルでサッカーを続け、就職先は大手証券だった。「M&A(企業合併・買収)の業務を6年間やりました。新聞に掲載されるような大きなものにも取り組んだ」と振り返る。ではなぜ金融業界の王道を走った男が、DeNAに入社し「スカウト部長」となったのか?

 21年夏にベイスターズに入社した。すでに大手証券を転職し、ファンドでいわゆる「ハゲタカ」となっていたが、一方でサッカー部に所属しながら学生時代からプロ野球のデータを頭に叩き込む「遊び」が大好きで、「いつかはプロ野球選手になれる才能がなくても、プロ野球の世界でマネジメント業に携わる仕事に就きたいと思っていた」という。

 経歴でわかるように、スカウト業を生業にはしてきていない。「進藤(統括本部長補佐)さんをはじめ、ウチには優秀なスカウト陣がそろっています。信頼しています。だから私が選手の評価に意見は一切しません。(スカウト現場の)球場にも足を運ぶが、それはマネジメントをする上で現場を知ることが一番大切だと考えているからです」と明かす。

 23年12月に社内他部署からいきなり「スカウト部長」に就任。「びっくりもありました。でも球団から、球界でイメージする“スカウト部長”とはちょっと違う、と説明を受けて納得した。元来マネジメントは希望していたので」と続ける。

 球団の骨格ともいえるスカウト業に、金融業界で豊富な経験を積んできた視点で切り込む。「僕はこれまでのスカウトの皆さんの視点に、異なる視点を加えて、個と組織の力をさらに進化させる役割を果たしていきます」と説明する。

 その中で、例えば23年ドラフトで度会隆起外野手(ENEOS)を3球団競合で指名権獲得しながら、「なぜDeNAは豊富なドラフト人材から(ドラフト1位で)投手を指名しなかったのか?」といった世間の声に惑わされることなく、2位では他球団も戦略的に意外?に感じた松本凌人投手(名城大)を指名するなど、「ブレないドラフト戦略」に結びつけていく。

 24年以降は、ドラフト、トレード、外国人獲得などの補強に、現場経験者(スカウト陣)と、マネジメント力に長けた長谷川氏が融合した成果が表れていくことになる。

 「能力が高くても、プロで活躍するとは限らない。その部分も突き詰めながらスカウト部長として役割を果たしたい。ウチには各部門に専門家がいて、メンタルの専門家もいる。その中で新しいスカウティングで、プロ野球界に貢献できていければと思います」。35歳のスカウト部長が投じる球界への一石にも注目が集まる。
 
 ◆長谷川 竜也(はせがわ・たつや) 1988年(昭63)10月19日愛知県名古屋市出身の35歳。東海高から慶大に入学。卒業後は金融業界に一貫して携わり、途中米国でのMBA取得も経て、21年夏に横浜DeNAベイスターズ入社。経営企画、MD戦略、チーム戦略室と異動し、23年12月に「スカウト部長」に就任した。

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