NPB審判員時代「おまえはアホか!」と激怒された人生で一番うまかったビール

2024年02月15日 08:00

野球

NPB審判員時代「おまえはアホか!」と激怒された人生で一番うまかったビール
NPB審判員時代の柳内記者 Photo By スポニチ
 アマチュア野球を担当して5年目を迎える。仕事としてアマチュア野球が大、大、大好き。それでもさすがにプライベートの時間では一線を引いている。私の中での「巨人・大鵬・卵焼き」は「サンフレッチェ広島(サッカー)、カネコアヤノ(歌手)、ビール」だ。飲み物ではビールが一番好き。11年から16年まではNPB審判員、17年から19年までは地方公務員、そして20年からスポニチ記者と、社会人として歩んだ中で「オールタイムベスト・ビール」の思い出を語りたい。
 ビールをチビチビと飲んで舌で味を吟味する。そんな飲み方も良いかもしれないが、やっぱりビールは「ゴクゴク」と喉で飲みたいものだ。喉で味わうためには乾いていることが求められる。やはりハイシーズンは夏。汗をかけばかくほど無限大にうまさは増大する。それがビールの持つポテンシャルだ。

 「おまえはアホか!」と怒られた思い出がある。NPB審判員時代、山口県にある広島2軍の本拠地・由宇球場でウエスタン・リーグの球審を務めた。季節は真夏。私は最高のビールを味わうためにある挑戦をした。デーゲームの40度近いグラウンドで球審は体を守るため、ユニホームの中に分厚い防具を着込む。止まらない汗は防具内でたまり、ユニホームの中はサウナ状態になるため、イニング間の水分補給が欠かせない。その試合も十分に水分をとり、9回まで球審をやりきった。挑戦はそこから。16時の試合終了から18時の夕食まで水分を1滴も取らなかった。試合終了直後の審判控え室では、塁審を務めた同僚がうまそうにアクエリアスをがぶ飲みしていた。それでも私は「至高の一杯」のために我慢した。

 いま考えたらアホである。熱いシャワーを浴びた後も我慢を続け、舌までカラカラに乾いていた。専門家でなくても健康に悪いことくらい分かる。迎えた18時の同僚との夕食。「お疲れしたッ!」の号砲とともに「アサヒスーパードライエクストラコールド」を喉にたたき込んだ。まるで、「漫画あしたのジョー」に登場する減量した力石のように乾いていた体内に染み渡るビール。限界を迎えた力石が、白木葉子から受け取ったのはさゆだったが、私はビール。至高の1杯目には涙すら浮かんだ。同僚たちはただごとじゃない様子の理由を知ると「アホかおまえは!」とあきれていた。そして同時に少しうらやましそうでもあった。

 絶対体に悪い飲み方。2度としないし、誰かが挑戦しようとしたら全力で止める。それでも「あの時」を上回るビールを飲んでみたい、とも思う。(記者コラム・柳内 遼平)

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