中野の献身が見て取れる初球 「見逃し率」は昨年よりアップ ここぞの場面に「爪」は隠している

2024年04月12日 08:00

野球

中野の献身が見て取れる初球 「見逃し率」は昨年よりアップ ここぞの場面に「爪」は隠している
<神・広>9回無死、初球を見逃す阪神・中野(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神0ー1広島 ( 2024年4月11日    甲子園 )】 【畑野理之の談々畑】その徹底ぶり、今年はさらにスゴイなと感心する。阪神・中野拓夢の打席にいつも注目している。この試合では右越え二塁打の4打数1安打だったが、その4打席すべてで、初球を見逃した。
 初回無死二塁では広島・大瀬良大地の高めシュートを振らなかった。3回1死一、二塁は外角カットボールを見送った。6回1死走者なしでは外角の143キロ真っすぐにバットを出さなかった。9回先頭でも3番手の栗林良吏の外角直球をやはり待った。4度すべて、カウント0ボール1ストライクになった。

 開幕から4カード12試合を消化したが、全52打席に立って48打席で待球スタート。4度振ったが、そのうち3度はベンチからの送りバントのサインだったので、実質は1度だけだ。

 「1球見て確かめたい時もありますし、あと足の速い近本さんが塁にいて何か作戦があるかもしれない状況とか、理由はいろいろとあります」

 初見の投手との対戦なら腕の振りやボールの軌道、スピードなど実際に対峙(たいじ)しないとわからないこともある。近本光司が走者にいれば、岡田彰布監督は盗塁やエンドランなどをしかけたいかもしれない。後ろにクリーンアップが控える2番打者の宿命だが、その献身的な徹底はすごい。

 38年ぶりの日本一になった昨年も明確なデータが出ている。全660打席で初球スイングは42度(犠打含む)で、6・4%は規定打席に到達した12球団の選手ではソフトバンク中村晃の5・5%に次ぐ低さだ。

 「初球を打って平凡なアウトになったらもったいないというのも、やっぱりあります。でも、相手が簡単にど真ん中でストライクを取ってくると思うので、どこかで振っていこうとも思っています」

 今年、その1打席あった初球ヒッティングも、はっきりと覚えている。6日のヤクルト戦(神宮)での初回、1死走者なしの打席だった。吉村貢司郎の初球真っすぐを中飛だった。「120%真っすぐだと思ったので、いきました。アウトになってしまいましたけど、たまには打つというのも知らしめられたのなら、いいですけど」

 今はここまで52分の1で、昨年よりはるかに低い1・9%。自身のデータを熟知して、かけ引きしているのはわかった。いつか痛い目に遭わせてやるつもりで、ここぞという場面にとっているように思う。 (畑野 理之)

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