ソフトバンク育成出身の石塚　プロ初安打からの初本塁打「取り組んできたことができた」

2024年08月22日 05:00

野球

ソフトバンク育成出身の石塚　プロ初安打からの初本塁打「取り組んできたことができた」 — ＜楽・ソ＞5回、ソフトバンク・石塚がソロ本塁打を放ちチームメイトに迎えられる Photo By スポニチ

【パ・リーグソフトバンク1ー2楽天（ 2024年8月21日楽天モバイル）】ソフトバンクの石塚綜一郎捕手（23）が21日、楽天戦に「7番・DH」で先発出場し、プロ1号アーチを放った。先頭打者だった5回に左翼ポール際に先制ソロ。育成出身で7月に支配下登録された右の大砲候補は2回にプロ初安打となる中前打を放ち、2安打1打点と打力をアピールした。試合は1―2で逆転負けし、2連敗で10カードぶりの負け越し。優勝マジックは23のままで足踏みとなった。

　左翼ポール際に高々と上がった打球は切れることなくスタンドに吸い込まれた。0―0の5回無死、「7番・DH」でプロ3度目のスタメン起用をされた石塚が楽天・内の145キロ直球を捉えた。

　「打った瞬間はファウルと思ったんですが、切れずに返ってきた。打撃のドリルでも動作解析でも、内角の球をフェアゾーンに残そうと言われていた。取り組んできたことができたのかなと思います」。今年7月に支配下登録を勝ち取ったばかりの23歳が、地元の秋田に近い仙台でプロ1号を放った。

　2回2死の第1打席ではスライダーを中前へ運び、プロ8打席目での初安打をマークした。7回の第3打席でも四球を選び、全打席出塁の活躍。「DHだったので先輩方に申し訳ない気持ちで打つしかないと思って臨みました。1打席目でヒットが出たというのが良かったと思います」と振り返った。

　データを入力することで、さまざまな投手の球質や変化球の軌道を再現できる「アイピッチ」で打撃を磨いてきた。ファームで導入されたアイピッチの打撃検定では、1軍の主力級が多彩な変化球を交えて投げてくる最上位のレベル16を10回以上トライした末にチーム内で初クリア。一級品のボールで対応する力を養ってきた。

　背部痛が癒えた中村晃が1軍に昇格するのに伴い、きょう22日にも登録抹消となるが、強烈なインパクトを残した。小久保監督は守備力の向上を課題に挙げた上で「今いるメンバーが駄目ならすぐに呼べる状態を維持してほしい。彼はホークスのアイピッチを使った検定を一番真面目にやってる子なので。こうやって結果が出ると、練習の必要性が若い選手にも分かる。その働きは大きいと思う」と期待を込めた。

　初安打、初本塁打の記念球、そしてバットは女手一つで育ててくれた母・順子さんに感謝の思いを込めて渡す。プロでの大きな第一歩を踏み出した石塚は「自信にしつつ、最初に打てなかったことの反省をしっかりして、呼ばれる第一候補になりたいです」と次回の1軍昇格を見据えた。　（木下　大一）

　◇石塚　綜一郎（いしづか・そういちろう）プロフィル

　☆生まれ＆サイズ　2001年（平13）6月7日生まれ、秋田県出身の23歳。1メートル81、87キロ。右投げ右打ち。

　☆球歴　岩見三内小3年で競技を始め、岩見三内中1年時は軟式野球部、同2年から「秋田南リトルシニア」でプレー。黒沢尻工に進み、3年夏に岩手大会ベスト4進出に貢献。19年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。

　☆朗希世代　佐々木（ロッテ）、宮城（オリックス）、奥川（ヤクルト）らと同学年。高校時代に大船渡で注目された佐々木は県内のライバルだった。3年夏の岩手大会準決勝では西舘（巨人）を擁する花巻東に敗れた。

　☆死球王　昨年の非公式戦では114試合で33死球。ケガのリスクがあるが、「出塁率が上がるので」とガッツあふれる言葉。
　☆特技　暗記が得意。高校時代には英検、漢検、情報技術検定、計算技術検定、土木施工管理技術士検定に合格。

　☆アイドル好き　昨年解散したBiSHが好きだった。ライブに行ってはまり、昨年まで登場曲に使用。今年は元メンバーのアイナ・ジ・エンドの「宝者」を使用している。現在は豆柴の大群、都内某所が推し。