【内田雅也の追球】前夜の「続き」の猛攻 祭りのような大勝を流れにしたい

2024年08月22日 08:00

野球

【内田雅也の追球】前夜の「続き」の猛攻 祭りのような大勝を流れにしたい
<神・ヤ>2回、西勇は適時二塁打を放つ(撮影・椎名 航) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神10ー4ヤクルト ( 2024年8月21日    京セラD )】 プロ野球のシーズンは長い。春夏秋……と1年をかけて戦う。日々勝者と敗者が生まれる。
 各試合は別物なのだが、毎日、戦いの場にいると、前日の試合からの流れや潮目を感じる。

 だから、前日の続編を見るような試合はよくある。この夜はまさに前夜の「続き」だった。この原稿もまた「続き」として読んでもらいたい。

 阪神は1、2回で大量6点を奪った。2回までに放った8安打のうち、初球打ちが半分の4本もあった。1回裏2死三塁から佐藤輝明の先制二塁打、大山悠輔の2ランがいずれも初球の変化球だった。2回裏は1死二塁から投手・西勇輝の適時二塁打、中野拓夢の適時打が初球だった。

 また、2回まで打者13人中7人が第1ストライクを打ちに出ていた。平たく言えば、初球から打ちに出ていたわけだ。

 これがなぜ、前夜の続きなのか。前夜は相手先発・吉村貢司郎が立ち上がり、制球が乱れ、1回裏、実に4四球を得て3点を先制していた。

 この先制後に監督・岡田彰布は指示した。「2回からはストライクを取りにくる。初球から行け」。ただ、この初球打ちを実践できたのは木浪聖也らに限られていた。

 前夜の反省を込めて迎えた一戦。相手先発サイスニードは前夜の失敗を繰り返したくはない。ストライク先行でくる。ならば、今度こそ初球から打ちに出るべきだ。

 ――とみていると「昨日はボールを見極めて先制した。今日は早いカウントから打ちにいこう。そんなミーティングをした」と試合後に岡田が明かした。「初球から甘い球を打つ準備ができていたんだろう。ファウルにせず一発で仕留めたのは大きいよ」。打者の準備力と集中力をたたえた。

 ただし「続き」はまだまだ続く。「見極めるのか、打ちに出るのか。それはもう紙一重よ」。流れと潮目を見てのかじ取りが難しい。

 もう一つ。1、2回の起点にはいずれも好走塁があった。1回裏は二塁走者・中野が浅い右飛で三塁を奪った。2回裏は木浪が三塁線突破を間一髪二塁打にした。この快走が活を入れたのだ。

 祭りのような大勝を流れにしたい。残り30試合。長いシーズンはこれからが長い。岡田は「30試合も!あるんやで」と語気を強めた。十分に逆転優勝できる試合数だと聞こえた。 =敬称略=
 (編集委員)

おすすめテーマ

野球の2024年08月22日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム