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矢野燿大氏 球児新監督の鋭い感覚と観察眼は武器 “変化に気づける”のは監督の資質あり

2024年10月16日 05:15

野球

矢野燿大氏 球児新監督の鋭い感覚と観察眼は武器 “変化に気づける”のは監督の資質あり
06年、矢野(左)と勝利のタッチをかわす藤川球児 Photo By スポニチ
 【矢野燿大氏(上) 球児にYELL】阪神・藤川新監督が正式に誕生。現役時代、同じタテジマのユニホームに袖を通し、苦楽をともにした本紙評論家が思い出を語るとともに、激励のメッセージを送った。「球児にYELL」の第1回は長年にわたりバッテリーを組み、19年からの2年間は監督と選手の関係だった矢野燿大氏(55)。
 「火の玉」と言われたストレートを目いっぱいに投げる。それで3つのアウトを取るだけ。球児のプレースタイルはこう思われているが、バッテリーをずっと組んできて感じたのは、彼の繊細さだ。打者を実によく見ている。そうでないと、打者を封じることはできない。9回を0点に抑えるのは実に難しい仕事なのだ。

 鋭い感覚を持っているし、観察力もたけている。投手はどちらかと言えば「自分のボールを投げることが仕事」というタイプが多いが、球児は違った。本当によく見ている。打者の構えのわずかな違いを感じ取り、投球を組み立てる。「ここは危ない。用心しないと」という危機察知能力も高かった。アンテナを自分で立て、変化に気づけるというのは監督に求められる資質だと思う。

 視野を広げたという点ではメジャー時代の経験が生きている。13年からカブス、レンジャーズで過ごした期間は球児にとって思うように進まない、挫折を味わった経験だった。選手としては成功できなかったが、この経験から、さらに人間的な成長を、再び阪神に戻ったときに感じた。

 現役時代に球児がマウンドに登場すると、スタンドには「オレたちの誇り」というメッセージボードが掲げられていたのを思い出す。ファンの人たちも「藤川監督」誕生に納得し、期待をかけているはず。監督というのは技術的な指導より、心の部分で組織をまとめるリーダーであることが求められる。コーチ経験がないことが取り沙汰されるが、自分の感覚、観察力を武器に、球児らしいチームをつくってほしい。

 多くの投手にとって球児は憧れであり、お手本。野手とのコミュニケーションではまだ未知数な部分はあるが、誰にだって苦手と得意がある。今、完璧でなくていい。やりながら成長する伸びしろがある。コーチ、スタッフとカバーし合い、一緒に進む姿勢が必要だ。「こういうチームをつくるる」と決めるのが監督の一番の仕事だ。監督としての球児を楽しみにしてます。そして、応援してます!(本紙評論家=(下)に続く)

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