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プロ野球界の大きなチャレンジ 来季2軍公式戦でタイブレーク制導入

2024年10月17日 08:00

野球

プロ野球界の大きなチャレンジ 来季2軍公式戦でタイブレーク制導入
今年のファーム日本選手権を制したDeNA Photo By スポニチ
 野球が大きく変わるかもしれない。日本野球機構(NPB)は来季の2軍公式戦でタイブレーク制導入の準備を進めている。アウトカウントや走者などシチュエーションの詳細は今後に詰めてくことになるが、プロ野球界において大きなチャレンジとなることは間違いない。
 決着をつけやすくすることで試合時間の短縮や選手の疲労軽減、ファンの満足度を上げるなどのメリットが見込まれるが、実際に各球団の現場レベルでは導入に対して懐疑的な声も聞こえてくる。

 在京球団の編成部門の関係者は「数年前からタイブレークの話は(NPB内の会議で)出ていたが、導入ありきで議論を進めてほしくない。2軍での導入は、まずは教育リーグからと聞いている。あくまでも試験的なもののようだが、1軍で導入するにはクリアしなければいけないことが多すぎる」と話す。

 多くの関係者が懸念しているのが査定の問題だ。タイブレークは走者を置いた状況でプレーが始まる。そのイニングで投げた投手が1安打を浴びて失点した場合、自分で出した走者ではないので失点はついても自責点はつかない。ただ、決勝点になれば敗戦投手になって黒星がつく。

 リリーフ投手の勝敗数が大きく変わることは容易に想像できるが、各球団の査定担当はどうのように判断するのか。前出の関係者は「例えば救援で10勝の投手がいて、5勝がタイブレークで挙げたた場合、これまでの査定ポイントに当てはめて“10勝”とはできない。新たにタイブレーク用の査定のフォーマットが必要だし、それが球団ごとに差があると選手間で不満も出てくると思う」と指摘する。

 実際にプレーする選手はどうか。パ・リーグのある選手は「間違いなく野球が変わる。試合展開にもよるけど9回の攻防はタイブレークから逆算してプレーの選択を迫られるケースが出てくる。延長10回の打順を考慮すれば、ベンチからの指示で意図的に勝負を避けるという判断になることもあるだろうし。それによって該当する選手に不利益が生まれないとは言い切れないのでは」と不安視する。

 今夏の甲子園の決勝戦はタイブレークで勝敗が決し、大きな話題となった。高校野球には球数制限があり、負担軽減という“大義名分”があるが、プロ野球においては現時点で導入の目的が明確になっているとはいえない。

 新制度には必ず賛否が出る。野球界の発展のためにより良いあり方を模索することは必要だが、その過程でさまざまな立場の人の意見を吸い上げることが何よりも重要。2軍戦での試験的導入で得たメリットとデメリットをしっかりと検証した上で、時間をかけて議論を尽くしてほしい。(記者コラム・重光 晋太郎)

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