渡辺九段 JT杯準決勝で大逆転勝利 5年ぶり決勝進出 V4を目指す決勝は藤井王将か広瀬九段か
2024年10月12日 19:31
芸能
79手目、渡辺が天王山へ角を据えた。そのにらみで中段へ逃げ出した稲葉王を追ったが「中段王は寄せにくし」。稲葉王は巧妙に寄せの網をかいくぐったようだ。
稲葉が竜を作り、さらに角で王手をかけた136手目。渡辺は桂を打って角の利きをさえぎった。ところが驚くべきことに、この桂は稲葉王を詰ます切り札となる働きも隠し持っていた。
稲葉は竜を9段目へ進出させたが、直後に渡辺が飛車で王手をかけ、攻守再交代。渡辺の深慮遠謀を悟った稲葉が、落手から2手後に急転直下、投了を告げた。
「仕掛けた後は(自分の)ペースかなと思った。でも攻め方がまずく、中段王でしのがれた。いい攻めが繰り出せなかった」。大逆転勝利にも反省の弁を連ねた渡辺に対し、稲葉は「最後、勝ちになったと思った。安全に行ったら、安全じゃなかった」。苦笑いで自身初の決勝進出を逃した将棋を振り返った。
決勝の相手は藤井か広瀬か。「(JT杯の)決勝は久しぶりな気がする。久しぶりの決勝、久しぶりの優勝を目指してやっていきたい」。渡辺は1カ月あまり後の決戦への意気込みを語った。